コーカサス

紅塵のコーカサスのレビュー・感想・評価

紅塵(1932年製作の映画)
3.7
紅い塵に渦巻く愛と性。

インドシナの農園で働くデニス(ゲイブル)は、長期滞在中の若い娘バンティーン(ハーロウ)と恋仲だ。
ある日、農地拡大のために呼び寄せた測量技師のウィリス夫妻が現地へ到着すると、デニスはゲーリー(レイモンド)の美しい妻バーバラ(アスター)に一目惚れしてしまう。

巨匠ヴィクター・フレミング監督とクラーク・ゲイブルが、名作『風と共に去りぬ』の7年前にタッグを組んだ男と女の愛憎劇である。

戦前の初公開の際、内務省検閲によって大幅にカットされたという性描写は今観ても生々しく、肉欲に溺れる男と女の息づかい、汗や雨に濡れた身体は、まさに蠱惑的で艶かしい。

ふたりの女を同時に溺れさせるデニスを演じたゲイブルは当時31歳とは思えないほど野生的な魅力で、すでに “キング”の貫禄を漂わせ、一方21歳のハーロウは本作の成功により “モンロー以前の”セックスシンボルのアイコンとなった。

のちにジョン・フォード監督が『モガンボ』としてリメイクし、ゲイブルは同じ役を再び演じていることも記しておく。

118 2021