まごー

シカゴのまごーのレビュー・感想・評価

シカゴ(2002年製作の映画)
4.8
死んだジャンルだった実写ミュージカルを一撃で復活させた作品。

あらすじ:
スターになるためなら不倫も厭わぬロキシー・ハート。ついに殺人を犯してしまう。
逮捕されて一巻の終わりかと思えば、キュートな殺人犯として新聞を大賑わせ。一躍スター街道に躍り出た。
敏腕弁護士を雇ってこれで無罪はほぼ確実。
早々に出所し、人気そのままスターとしてステージに戻ることを目指すが、ここは次から次へと事件が起きる街シカゴ。
注目を浴び続けるのは簡単なことではなかった。
それどころか無罪の行方も怪しいかも??

みたいな内容の作品。

嘘つきで、自己愛にまみれてて、醜いほどにワナビな悪女であるロキシー・ハートが自分は数ある映画史上の女性登場人物のなかで一番好きだったりする。

演出手法が面白い。
『雨に唄えば』の冒頭の一幕を思い起こさせるようなカットバックの手法。
観客には映像で真実を伝えつつも、歌で大嘘をつくというやり口。

・「愛しかいらない」と歌いながら金しか興味がない弁護士。
・「みんななら同情してくれるはずよね?」と歌いながらも、どこまでも自己中心的な感情で殺人を犯している女囚たち。
とか。

きわめつけは、腹話術のシーン。
言わずもがなの嘘つきっぷりにゾクゾクする。

こういう嘘シーンに限らず、
全編を通して貫かれるカットバックのキレ。
冒頭からゴッドファーザーの勢いだ。

トーキー映画が始まったとき一番観客が聞きたがったのは、
「銃声」「タップダンス」「法廷での丁々発止のやり取り」
だったって双葉十三郎さんが何かで言ってたけど、
この作品はその全部が揃ってます。

トーキー映画の喜びを全身で感じたい人おすすめです。
まごー

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