ばーとん

雪の断章 情熱のばーとんのレビュー・感想・評価

雪の断章 情熱(1985年製作の映画)
3.8
冒頭の14分に及ぶ長回しで物語の前段をダイジェストで見せるという無茶をやってる。ワンカット内に異なる時代の事象を入れ込むって、やってることが初期アンゲロプロス。斉藤由貴が歌いだすと場の空気がサっと変わるシーンなどモロにアンゲロプロス。
バックグラウンドが見えない男二人と孤児の女の子が共同生活をする疑似家族モノに見せかけて、ちゃんと恋愛までさせてしまうアンチ家族映画。彼女に不安定な場所ばかり歩かせててるのがいい。テトラポッドのシーンなんて見てて心配になる。岡本舞がかつての下女だった斉藤由貴を「お前」と呼ぶのが堪らない。「あたしはブルジョアのお嬢さんで傲慢で無慈悲で他人を踏み付けにして痛みを感じないエゴイストなの」のセリフには爆笑した。この人がサディスティックに主人公を苛め倒す展開を期待したが早々に死んでしまう。斉藤由貴を苛める役がいなくなり、甘やかす大人ばかりになったのが残念。終盤がちょっと大人しすぎたけど、アンゲロプロスやりたかったんだから、まぁこうなるよね。相米慎二は詩人じゃなくてアクションの人なのに、途中から方向性間違えた気もする。
ばーとん

ばーとん