映画の道化師KEN

007 スカイフォールの映画の道化師KENのネタバレレビュー・内容・結末

007 スカイフォール(2012年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

死の淵から再起しろ!

監督は「アメリカン・ビューティー」のサム・メンデス。主演は「007」シリーズのダニエル・クレイグ。加えて、「恋におちたシェイクスピア」のジュディ・デンチ、「ノーカントリー」のハビエル・バルデム、「ハート・ロッカー」のレイフ・ファインズ、「マイアミ・バイス」のナオミ・ハリス、「リヴォルト」のベレニス・マーロウ、「パフューム ある人殺しの物語」のベン・ウィショー、「カムバック!」のロリー・キニアらが共演する!

各国のテロ組織に潜入している工作員を記録したMI6のハードディスクが何者かに奪われ、ボンドは犯人を追いつめるがMI6の長官Mの命令で放たれた銃弾に撃たれ、橋の上から谷底へと落ちていく。Mはリストが奪われた責任を追及され辞職を迫られるがこれを拒否。しかしその直後、リストを奪った犯人によりMI6のオフィスが爆破され、さらなる犠牲者を出してしまう。このニュースを見たボンドは再びMのもとへ舞い戻り、現場へ復帰。犯人の手がかりを求めて上海へと渡る。

ダニエル・クレイグ主演「007」シリーズ第3作品。過去作の「007 ドクター・ノオ」から50周年となる節目に公開された記念作品でもある。前作のジェームズ・ボンドは復讐をテーマにした物語となっていたが本作では世代交代、老い、死をテーマに、古き英雄たち(ボンドやM)の存在意義を問いかける内容だ。

今作は任務で重症を負い、引退寸前まで落ちぶれたボンドが一流スパイとして復活するまでの過程を描き、ボンド直轄の上司Mの過去と因縁にファーカスを当てたスパイアクション!

過去作から人気の高い秘密兵器開発部門のQや有能秘書マネー・ペニーをリブートして、登場させる粋な計らいに歴代の007を見続けてきたファンなら間違い無く歓喜するだろう。更に、秘密スパイ道具(指紋認証付きワルサーPPK,小型発信機など)を現代に寄せて再登場させたり、「007 ゴールドフィンガー」で使用されたアストンマーティンDB5を起用するなど、見応えあるリスペクトが満載だ!

しかし、今作の1番の見どころは何といってもはハビエル・バルデム演じるサイバーテロリストのシルヴァの怪演だろう。映画「ダークナイト」でジョーカーを演じたヒース・レジャーに匹敵する狂気とカリスマ性は天才の領域であり、あれほどボンドの魅力を引き立てる悪役はそうそういない。愛と憎しみに満ちたマザコンサイコパス を演じられるのはハビエル・バルデム、彼だけだ(笑)。

余談だが、本作の007はサム・メンデスが黒沢明監督の地形や構造を活かした手法を参考にして制作したらしい。