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007 スカイフォールのtakeachanceのレビュー・感想・評価

007 スカイフォール(2012年製作の映画)
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1962年から続く、映画『007』シリーズの23作目。
ダニエル・クレイグがボンドを演じる作品としては第3作目。
ショーン・コネリーが初代007を演じると発表されてから50周年。
本作は50年を迎えたシリーズの
「原点への回帰」が散りばめられている。
007シリーズが好きな人にはたまらない。
そして記念作品だけに、MやQ、そしてマニーペニーなど、
新旧の橋渡し的な要素が随所に見られる。

今まで見た007シリーズの中でも最高傑作。
前々作の『カジノロワイヤル』も面白かったし、
『ロシアより愛をこめて』も『女王陛下の007』も好きだけど。

ジュディ・デンチ演じるMが
かなり前面に押し出された構成が特に良かった。
今作の主役は間違いなくMだし、
今回のテーマはMの苦悩を描いている。

最初にボンドが亡くなるシーンから。
このパターンは第5作目の『007は2度死ぬ』のオマージュ。
中盤で第3作目の『ゴールドフィンガー』にも登場する
「アストンマーチン・DB5」が
ボンドカーとして再登場するのもうれしい。

上海の高層ビルにてイタリア人画家のモディリアーニの作品
『扇を持つ女(ルニア・チェホフスカ夫人の肖像)』を
鑑賞中に狙われた男が背後から敵に撃たれるシーンがある。
この絵画は現実に2010年の5月に
パリ市近代美術館から盗まれたもので、
その後犯人は逮捕されるんだけど、
作品は現時点でも見つかっていない。
つまり、パリで盗まれた絵は上海にあった!という話になっている。

これは第1作目の『007 ドクター・ノオ』で、
敵のアジトに潜入した初代ボンド(ショーン・コネリー)が
アジトに飾ってあった絵画を
不思議そうに見つめるシーンのオマージュ。
当時盗まれて行方不明だったゴヤの『ウェリントン公爵』を想起させる。

Mの机に常に陣取っているこの陶器の置物は
「勇猛で粘り強くあれ」というイギリス人の象徴でもある、
国犬のブルドッグことジャック。

Mがボンドにと託したこのブルドッグの置物のジャックを
「そろそろ現場を引退してデスクワークになれってことじゃない?」
と言うイヴに「違う、反対の意味だ」と即答するボンド。
「Mへの忠誠心」と「イギリスと女王陛下への忠誠心」を
彼女は彼に託したわけだ。

新人女性エージェントのイヴが敵だと思っていたんだけどなあ。
Mの指令によってボンドを誤射してしまうのも
「あえて」ボンドを狙って撃った、と途中まで誤認していた。
見事に製作者の思うツボにハマってしまったわけで。ぐぬぬ。
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