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グランド・ホテルのbluebeanのレビュー・感想・評価

グランド・ホテル(1932年製作の映画)
4.0
ホテルに訪れる人々の様々な人間模様が描かれています。お金、死、恋愛、ギャンブル、誠実さ。人生とは、を考えさせられる映画です。その中でもメインテーマはやはりお金です。貧乏人も金持ちも、性格の良い人も悪い人も、お金から完全に自由になっているキャラはほとんどいません。人生や人間性って、お金じゃないよね、なんていう綺麗事では終わらせず、最後までお金、お金です。でも不思議なのは、それが決して悲観的だったり諦めといった印象で終わらなかったことです。

良い人も裏があったり弱い面があったりという登場人物の二面性が本作の魅力ですが、特に男爵のキャラは好きです。振る舞いは紳士的で優しいのに、泥棒で女たらし。でも根本の部分では悪人になりきれない。なんかリアルで憎めません。

ホテルに様々な客が来て、いろんな出来事、事件を起こしては去っていく。でも次の日にはたんたんといつもの営業が始まります。ホテルを世界観の縮図にする演出がかっこいいです。

加えて、冒頭の電話の場面の素早い切り替えとか、ロビーでの長回しとか、演出面でもなかなか面白いシーンが多く楽しめました。
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