とうとう増村保造に手を出してしまいました。
まずポスターのビジュアルが秀逸なんです。
全く古びてない。
なるほど本作、弁護士円山雅也さんの著書から、脚本家井手雅人さん脚色経由の法廷劇ですか。
はやい話がオトコオンナにまつわるどろどろのエレジーなんですけども。
これがサスペンスとミステリーを絶妙に織り交ぜていて見事です。
語り口も親切丁寧です。
各々のキャラクターや裁判の順序、事件に至ったバックグラウンドや世相でさえバッチリ。👍
そのうえ本作の核となる部分は非常に控えめで、我々に大きな禍根を残しながら幕引き。
幸田のフィアンセ、理恵の捨て台詞くらいからしかそれらしいものが出てきませんが、社会全体のもつ根本的な諸問題が本作全体に黒い影を差します。
男女それぞれに課せられたジェンダーロールの軋轢、旧態依然としたカビ臭さが立ち込めます。
一方的で強烈な愛の告白を、この場合どう受け取るのが良かったというのでしょうか。
そうそう、森田芳光監督作「失楽園」と似てるかもですね。