カタパルトスープレックス

キャンディ・マウンテンのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

キャンディ・マウンテン(1987年製作の映画)
5.0
アメリカで最も偉大な写真家の一人ロバート・フランクが手掛けた映画作品の一つです。『断絶』(1971年)や『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』(1973年)の脚本家としても有名なルディ・ワーリッツァーが共同監督。

本作はかなり人を選ぶ作品となっています。アート・リンゼイ、ジョー・ストラマー、デヴィッド・ヨハンセン(ニューヨーク・ドールズ)、トム・ウェイツ、ドクター・ジョン、レオン・レッドボーン。これらの名前を見て「ワオ!すげえメンツだ!」と思った人にとっては永遠の友となれる作品だと思います。逆に、これらの名前を見てピンとこない人にとってはどうでもいいクズのような映画だと思います。なぜなら、彼らを観る映画だからです!

いきなりアート・リンゼイとジョー・ストラマーのセッションですよ。ギターをかき鳴らすジョー・ストラマーと帽子立てをガンガン叩くアート・リンゼイ。カッコイイ!トム・ウェイツは金持ちのオジサン役でポロシャツを着てゴルフのパッティングの練習してます。似合わない!それでも、結局は酒を飲んでピアノを弾く。カッコイイ!レオン・レッドボーンって知る人ぞ知るアーティストでめっちゃ好きなんですが、動いているのって本作でしか見たことない!

一応、内容も解説しましょう。テーマは「人生甘くない(Life is not candy mountain)」です。音楽業界でビッグになりたい主人公のユリウス(ケヴィン・J・オコナー)が金で雇われて伝説のギター職人であるエルモア・シルク(ハリス・ユーリン)を探しにいくロードムービーです。見どころは随所に登場する上記のアーティスト。

作品の雰囲気としてはルディ・ワーリッツァーっぽい。『断絶』や『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』に『ウォーカー』(1987年)のような土臭さが出ています。それにしても、ルディ・ワーリッツァーっていい監督のいい作品の脚本を書いてるなあ。

ロバート・フランクの映画作品は"Robert Frank: The Complete Film Works"でDVDになっていますが、ほぼ絶版で値段が釣り上がってしまっています。本作はフランス版のDVDが比較的廉価で買えたのでラッキーでした。ロバート・フランクの映画作品はもっと入手しやすくならないかなあ。もちろん、写真も素晴らしいのですが!