ネズミツオ

デス・レース2000年のネズミツオのレビュー・感想・評価

デス・レース2000年(1975年製作の映画)
4.8
戦争、大恐慌の刺激で感覚がマヒしたアメリカ国民が狂った殺人カーレースに熱狂する近未来の世界を描いた(2000年は17年前だけどなw)天才ヤリ手のロジャー・コーマン大先生が贈るカルトムービーの傑作!

粋がった中学二年生が親の脛を齧ってチューンナップしたようなミニ四駆風の殺人カーがえれえポップかつ、刀やトゲトゲでデコレーションされていても所詮飾り程度で、本領を発揮するのは爆裂スピードでの轢殺。このTVゲームの先駆けっぽい無差別に人間を轢きまくってポイントを稼ぐ世界観に無名時代のシルベスター・スタローンが出演してるんだから、もうジョークが過ぎるw 歴代の優勝者らしいけど、事あるごとに噛み付く精神年齢の低さ。マシンガン乱射のフォームは「ランボー怒りの脱出」ラストの名シーンと同じ、つーか原型が見られるなんてのはスタ公好きには胸キュン「への字口」なチーク強め垂れ目種馬にメロメロになるであろう。

最も強烈かつ大爆笑必至の場面は病院で死にぞこないの爺ちゃん婆ちゃんが公道で横一列にズラリと並べられ的にされるところ。ところがドッコイ血も涙もない人間のクズな藪医者や看護婦が高みの見物とばかりに退避する道へ故意に突っ込み跳ね飛ばすコントみたいなブラックジョーク。老人や子供が死ぬ死ぬモード連発ってあーた、これメリケンだから許される映像っすよ。(いや酷いかw)全体的に頭のネジ飛び過ぎていて今見ても強烈なインパクトを放っています。標的にされる民間人を目糞ほどだけ生き様を描いて魅せているのがまた愉快。釣り人のくだりとかね。

フランケンシュタイン役のジョン・キャラダインはレザースーツに身を包んだ伝説の英雄を演じているけど、何年の大会で負傷したキズとか武勇伝を残しながらも実は嘘八百だったりルパンの変装のように顔面の傷マスクをベリッと脱ぐのも様になっていますね。けれどさ、差し歯はそのまんまなんだよね(笑)アシスタントを勤める美形&可憐&わんぱくが似合うシモーヌ・グリフィスがすっごく魅力的で骨抜きにされてしまうんですよ。おバカホイホイ爆弾娘に扮した『悪魔の沼』の冒頭でネヴィル・ブランドにブチ殺されるロバータ・コリンズもめちゃくちゃ可愛らしい。出場者全員がマッパでマッサージされる場面とかハーレムかよ!脱がなさそうで脱がしちゃう別嬪さんのオッパイを惜しげもなくドドーンと切り取るサービス精神に70'sの底力を見た。

慣れって怖いもので、己が轢き殺される番になるかもしれないのにドーパミン放出で前が見えなくなっている浮かれた連中を退治する真の正義、腐敗した世の中に鉄槌を下すフランケンさん怒りのアクセルべた踏みに2000年への希望が湧く疾走感バツグンのカーアクション大作。スーパーカーブームやカー消し世代のおっさん&おばさんは絶対見て若返ってほしいww 僕も変な車乗りたいもん。

【2017年8月15日(火)】
新宿シネマカリテで鑑賞。
※初見は2007年にテレビ東京「バリシネ」(深夜枠)で。
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