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フェイシズの&yのレビュー・感想・評価

フェイシズ(1968年製作の映画)
4.8
【2014/2/7:ユーロスペース】カサヴェテス特集回数券、どれ観るか迷ったけど「ビフォア・ミッドナイト」観たばかりだからか倦怠期ものに引かれて久々の鑑賞。
ほぼ破綻した夫婦が笑い転げる顔。静寂が怖くてさらにバカ笑いを重ねる顔。ベルイマンは「落ち込むだけ」と指摘する顔。娼婦たちとの馬鹿騒ぎパーティの顔。不倫の女が自殺を図って慌てふためく若い男の顔。顔アップだけでこんな面白くなるもんかね。そしてその「顔」と発せられる「言葉」「心情」は、いつも合致しない。セリフはもう、すべて「Eeny, meeny, miny, moe」でいいんじゃないの?とすら思えてくる。カサヴェテスにしか撮れない映画だなあと思う。
階段を効果的に使った作品は数あれど、これは最高。階段で始まり、階段で終わるが、ラストが特に秀逸。階段の途中の上下で座り込み、一瞬同じポーズをとったかと思えば組み替え、立ち上がってフレームアウトし、戻ったらまた一方が立ち上がり…と破綻夫婦のすれ違いそのもの。唯一行手を阻む夫の脚を「通して。」の一言でやすやす通過し、消える妻。この夫婦の間の、深すぎる闇が可視化された、素晴らしく救いのないラスト。
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