Pinch

フェイシズのPinchのレビュー・感想・評価

フェイシズ(1968年製作の映画)
4.0
日常ありがちなストーリーを扱いながらも、含蓄が膨らんでいく対話、そのための演劇的なカメラワーク、荒っぽいモノクローム画面など、実験的な手法を凝らすことで、平凡なプロットが平凡ではなくなっている。裕福な企業経営陣がただのみっともなく惨めなおじさんに、その奥様方が無駄なプライドを抱えた将来の見えないおばさんになるなど、立場に囚われた人間関係が虚飾を剥がれて露わになり、普遍的なものに昇華されていく感じがある。そういうことは現実でもたまにあるよね。

カサヴェテスはあまり観ていないが、『アメリカの影』と『オープニング・ナイト』は気に入っていた。どうなのかなと思って特色がありそうなこの作品を観てみたが、さらに斬新で興味深い映画だった。
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