ぶみ

ラストサマーのぶみのレビュー・感想・評価

ラストサマー(1997年製作の映画)
3.5
気絶してたら、謎は解けない。

ロイス・ダンカンが上梓した『I Know What You Did Last Summer』を原案とした、ジム・ギレスピー監督、ジェニファー・ラブ・ヒューイット主演によるスリラー。
7月4日の夜、クルマで人をはねてしまった高校生四人組が、一年後、謎の殺人鬼に追われる姿を描く。
公開当時、劇場鑑賞した作品であり、久々の再鑑賞。
主人公となる高校生四人組を、ヒューイット、サラ・ミシェル・ゲラー、ライアン・フィリップ、フレディ・プリンゼ・Jrが演じているほか、ジョニー・ガレッキ、ミューズ・ワトソンに加え、残念ながら昨年鬼籍に入ることとなってしまったアン・ヘッシュが登場。
物語は、交通事故を起こした四人組の一人、ヒューイット演じるジュリーのもとに、事故から一年後、「I know what you did last summer」(去年の夏、お前が何をしたか知ってるぞ)と書かれた手紙が届けられ、それ以降、謎のかぎツメの男に追われることとなる様が描かれるが、全体的には、不穏な空気や重厚さよりも、青春ホラーとしての雰囲気を重視したものであるため、非常に観やすく仕上がっている。
そして、果たして、誰がその手紙を送ったのか、交通事故の原因は何かといったサスペンスと、神出鬼没なかぎツメ男に狙われるというホラー要素がバランス良く散りばめられているので、難しすぎず、かと言って、頭を脳筋にして観られるわけでもないという絶妙なバランスが本作品の持ち味。
また、ヒューイットとゲラーの二人が揃いも揃ってスタイル抜群であることや、いくら親のクルマとは言え、BMWを乗り回すアメリカの高校生文化に、鑑賞当時、日本との違いを痛感させられたことを思い出した次第。
先日観た『ノーカントリー』の邦題が、原題を省略して、何のこっちゃだったのに対し、本作品は単純に『ラストサマー』としたことで、簡単な単語ながらも不安感を掻き立てられたり、青春ホラーであることを端的に示すものとなっており、なかなか秀逸。
日本でリメイクするなら、主演は南沙良と小芝風花あたりでどうか。
今でも定期的に登場する青春ホラーの基礎を築いた作品の一つであり、ミステリとしてもホラーとしても気軽に楽しめる一作。

ジョディ・フォスターなら殺人鬼と対面ね。
ぶみ

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