ししまる

ニュー・シネマ・パラダイスのししまるのレビュー・感想・評価

3.0
1988年伊仏のドラマ。中年の映画監督サルヴァトーレ(幼少期はトトと呼ばれていた)が映画に魅せられた少年~青年時代を回想する。舞台は戦後間もないシチリア島の「ジャンカルド村」(架空)。父が戦地から帰らず、母と2人で暮らしていたトトの楽しみは地元の映画館パラダイス座に入りびたることで、そこで出会った映写技師アルフレードから人生を学ぶ。
言わずと知れた名画。 89年アカデミー外国語映画賞。「分からない」という感想も見受けられるが、年を取れば取るほど感銘を受けるらしい。故淀川長治氏曰く「今年80歳の私の胸をかきむしった」。個人的には、決してつまらなくはないし、ラストも良かったが、のめり込む感じもなかった。誰もが聞いたことのあるエンニオ・モリコーネの音楽が心地いい。
オリジナル版は155分、日本では173分のディレクターズカット版(完全版)、123分版の劇場公開版がソフト化されており、今回は劇場公開版。劇場版推しの声が多いが、トトとエレナの関係を深掘りした完全版を見てこそラストシーンの意味が分かるとの意見も。
本作は映画館の火災も有名だが、かつて銀幕を照らした映写機はアーク放電による強い光源が用いられ、ニトロセルロース製のフィルムも燃えやすかったので火災の危険と隣り合わせだったという。
本作はイタリア語たが、俳優本人の声でなく別にイタリア語で吹き替えられているキャストが多い。サルヴァトーレの中年期を演じたジャック・ペラン、アルフレード役のフィリップ・ノワレはフランス人だから分かるけど、エレナ役とかはイタリア人なのになぜと思っていたら、イタリアは昔から全ての映画がアフレコで、演じる役者本人とは別人が声を当てていることも少なくないらしい!
幼少期のトトを演じたサルヴァトーレ・カシオは42歳。俳優を引退し、レストラン兼宿泊施設を経営しているという。
ししまる

ししまる