映画という文化に対する墓標のような映画だった。「自分のやることを好きになれ。かつて映写室でそうしたように」
「ノスタルジーに負けるな。」
この言葉に鳥肌が立ったとともに、もしかしたら当時の映画業界に送られた言葉だったのかもしれない。
要所要所で用いられる映画の主テーマの旋律。「名画の背景には名音楽あり。」
そんな当たり前のことが思い出された。
トトの成長譚と映画黄金期を描く二本立てのノスタルジーに対し発されるメッセージは「ノスタルジーに負けるな。」
テレビやゲームに押されつつあった当時の映画業界もといトトを激励しやまない。
最終盤、覚悟を持ち、一定の成功をおさめた主人公トトが再登場。過去の名画を彩った名シーンの数々をスクリーンで噛みしめるように見ながら、映画は終幕する。
最初にこの映画は墓標だと書いたが、墓標であると共に、新たな時代へのファンファーレだったのかもしれない。
これだけの名画が培ってきた文化がそんじょそこらの風では倒れないぞと。熱い気分になった。