シュローダー

ニュー・シネマ・パラダイスのシュローダーのレビュー・感想・評価

2.0
インターネット上では「ニューシネマパラダイスを褒めない奴は映画通ぶって一般人を見下すいけ好かない奴」みたいな言説が割と市民権を得ていると僕は感じているが、やはりつまらないものはつまらないので言わせてもらう。一体この映画の何処を面白がれば良いのだろうか。中身の話をする前に非常にノイズと感じたディテールの話をさせて貰う。僕の人生ベスト1映画「ファイトクラブ」を観た方ならばお分かりの筈だが、映画とは一台の映写機でリールを掛けっぱなしにして上映する事は出来ない。必ず巻と巻の間で二台の映写機を瞬時にチェンジしなければならない。この入れ替えこそが映写技師の華であり、その職人性の発露であるが、この映画はこのディテールを全く描写していない。これはいかがなものだろうか。仮にも映写技師への愛を唄った映画であるのに、その仕事の本質とも言えるものを描写しないのは非常に疑問符がつくし、何よりこちら側が映画に集中出来なくなる要因でもある。この時点でこの映画は僕の中で非常にどうでも良い映画になってしまったのだが、中身も中身で全くノレない。基本的に僕はノスタルジーという感情ほどくだらない物は無いと思っている。「そんなに昔が良いならば、何故今を生きている? さっさと死ねば楽なのに。」と思ってしまう。この映画は誰しもが心に抱える「あの頃」の話をしているのは明白であるが、まずそのストーリー自体が非常に退屈な物だ。基本的に人物造形は非常に一面的で、良い人は最後まで良い人である為、誰にも感情移入出来ない。中盤からおっ始められる恋愛劇は全く映画愛とは関係無い上に尺が長いしどうでも良い。そしてあのラストであるが、ここはまあ確かに良い落とし所だと思うし、そこまで貶す気は無いが、余りにも作り手の意図が見えすぎていて眉を顰めてしまう。「ほら! これは泣くでしょ? ほらほら!」と言われている様な物であり、とてもいやらしい。これでは「難病物」の構造と全く変わらない。というかこの映画が逆説的に00年代から蔓延っているダメ邦画の原点というか、サンプリング元である事は明らかであろう。観終わった後に残るのは「で?」という感情だけ。何故この映画が高評価を受けているのか全くわからない。「この映画を評価できないならば映画好きに非ず」と言われようが知った事じゃない。結局のところ「泣ける」と「ヌける」の本質は同じなのだから。