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ニュー・シネマ・パラダイスのaeuのレビュー・感想・評価

4.2

何年ぶりの再鑑賞だろうか。前に観た時は3時間完全オリジナル版を観たような気がするけれど、その時の感想を正直覚えていない。

ただ、その時の感覚は、もっとストーリー性があって「映画」というものへのワクワク感があって、3時間もあっという間に感じてしまうような、そんな感覚だったと思う。

余談だけど、例えば『タイタニック』なんかも昔は何度も夢中になって観ていたけれど、今になって作品時間を観ると「これ3時間以上もあったんだ...」なんて感じてしまう。

子どもの頃は今が全てで「明日」は立派な未来で、来週とか来月とか来年とか、そういう概念すらもあんまり理解していなかったような気がする。
大人になると当たり前のように1年後のスケジュールをも考えながら生きていて、映画を観る時も3時間ものは連休のこの時間に...なんて手が出しにくくなったりして。


今回改めて観ると、また違った感覚で観られた。
冒頭、テーブルの上の山盛りになったレモンを見て「あ、シチリアレモンね...」なんて子どもの頃は思いもしなかっただろう(そこかよ)。

今回は自然と人情的な部分に焦点をおいて観られたように思う。

退屈なほど変わらないもののその変わらなさに美しいと感じたり愛しいと感じるためには、その不変の中にいてはいつまでも気が付けない。

30年という長い年月を経て、目にしたその世界は本当に感動的なものだったろうと、何気ない好きでもなかったものすら愛しく感じてしまうような、好きだったものは更に愛しく感じてしまうような...。終盤が本当に感動的だった。


ところで、99日目で立ち去ってしまった兵士のお話。その理由はなんだったんだろうか。答えなんて無いのかもしれないけれど。
今の私が兵士だったとしたらどうだろう。あと1日待って王女が自分のものになったとして、その理由が100日待ち遂げたからという理由では、王女の本心も自分の想いも報われないから。それが最初に浮かんだ理由。
10年後の私はどう考えるのか、少し楽しみだ。


人生をも考えさせてくれる、色褪せないどころか、年月を重ねるたびに味が出る、そんな壮大な作品。時が経ったらまた観たい。今の私ではその壮大さの端を目視することすら到底出来ないから。
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