がちゃん

真夜中のパーティーのがちゃんのレビュー・感想・評価

真夜中のパーティー(1970年製作の映画)
3.8
登場人物は9人。
そのうちの8人はゲイ。
その8人の中の一人ハロルドの誕生日パーティーを開くために、ホスト役のマイケルは恋人のドナルド(もちろんゲイです)と一緒に自宅で準備をしていた。

その途中、大学時代の友人で今は弁護士をしているアランから電話がある。
「今から会いたい」と。

涙ぐんでいるようでもあり気にはなったが、マイケルは、ハロルドはゲイに対して偏見を持っていると思っていたため、パーティーを優先し、別の日に昼食をとるという約束をした。

そしてパーティーの参加者たちが続々と集まってくる。
陽気なお調子者、黒人、愛し合っているカップルなどなど。

ただ、
パーティーの主賓であるハロルドがなかなかやってこない。
主がいないままフライング気味でパーティーは始まり、近況報告などをしながらそれなりに楽しくパーティーは進んでいた。

そこに突然アランがやってくる。ストレートのアランがやって来たことで、それまでの和やかムードに緊張が走る。

そしてハロルドがやってくる。
皮肉屋の彼がやってくると、更にパーティーの雰囲気は怪しくなっていく。

愛情、憎悪、嫉妬などいろいろな感情が渦巻く中、
マイケルはゲームをしようと提案する。

そのゲームは、
「電話ゲーム」。
自分が一番愛している人物に電話して愛しているといえばポイントがもらえるというゲームだ。

誰も電話を取ろうとしないが、
遂にある人物が受話器をとりゲームが始まる。
そしてそのゲームは、
悲劇への幕開けとなる・・・

何の抵抗も障害もなく、好きなものを好き、愛している人に愛していると言えることがどれだけ素晴らしいことなのかということを考えさせてくれる作品です。

現在ほど性的少数者に対して寛容でなかった時代(1970年制作)に作られた本作。
そのためにまるで罪を背負って生きていかなくてはならないような登場人物たち。

対象が違うだけで人を愛する気持ちは同じ。
ストレートであるアランが電話ゲームに参加するシーンで何とも言えない感情が胸に突き刺さりました。

ところでこの「電話ゲーム」。
携帯電話などなかったころ、女の子の家にドキドキしながら電話をしていたころを思い出しました。
相手の親が出てきたらどうしようとかいろんなことを考えていたものですが、このゲームは意外とそういうところからヒントを得たんじゃないかなと思ったりしました。

監督は、「エクソシスト」や「フレンチ・コネクション」を撮る前のウィリアム・フリードキン。
舞台劇の映画化ですのでセリフ中心の密室劇なのですが、退屈させることなく、ジワジワとサスペンスを盛り上げていく手腕はお見事です。

LGBTについて、
私は完全に理解しているわけではありません。
いや、いまだに保守的といわれる層に属していると思います。
それでも、
この作品における登場人物たちの苦悩は心に沁みました。

がちゃん

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