うにたべたい

透明人間のうにたべたいのレビュー・感想・評価

透明人間(1954年製作の映画)
4.0
円谷英二が特撮と本編の撮影を行った、東宝特撮映画。
後に作られる変身人間シリーズの走りとも言われる作品で、軍により兵器として改造されて生まれた悲しい経緯を持つ透明人間が暗躍する脚本は、"美女と液体人間"を想起させます。

銀座にて、轢いた感触のみの交通事故があり、車の下を調べると死体が徐々に浮き上がってくるという不可思議な事件が発生する。
後に、彼は日本軍の特殊部隊「透明人間特攻隊」の生き残りであること、生き残りはもう一人いることが記された遺書が発見される。
透明人間がどこかにいる、という報道は街を駆け回るが、やがて透明人間を名乗る集団が現れ、彼らによる強盗事件が発生する。
ストーリー上、キャバレーのシーンが多いく、その点でも"美女と液体人間"を思い起こしました。
本作でもキャバレーがとても楽しそうに描かれています。
私もキャバレー行ってみたいです。

変身人間シリーズでは、変身人間達はみんなその特異体質を駆使して犯罪を行っていましたが、本作の透明人間は正義の透明人間で、透明になって悪いことをするようなシーンは無いです。
我々の脳内には透明化→エロの図式が刻まれていますが、本作は時勢的になのか、お子様の視聴に配慮してか、そういったことは一切しない紳士的な透明人間なので、その手の期待には応えてくれない内容でした。

透明化の特撮は見事でした。
当時の技術でこれだけの演出ができるのは、さすがは円谷氏です。
内容も面白かったです。終始楽しく視聴しました。
ラストはオルゴールの音色の響く、悲しい終わり方です。
"液体人間"とは違いますが、根底のテーマに共通点を感じました。