うにたべたい

海底軍艦のうにたべたいのレビュー・感想・評価

海底軍艦(1963年製作の映画)
4.1
特撮界隈では大変有名な乗り物・轟天号が初めて登場した作品ということで著名な特撮映画作品。
1万2000年前に海底に沈んだムウ大陸が実は地熱を利用したエネルギー技術により海底で文明を育んでいたという設定で、かつての栄光を取り戻すために世界に向けて宣戦を布告する。
その圧倒的な破壊力と、最新鋭の潜水艦でも到達できない深さにあるムウ帝国に世界の軍事力は歯が立たなかった。
そんなムウ帝国が唯一恐れた兵器が、日本海軍が日本海軍が秘密裏に開発していた海底軍艦・轟天号である。
今、打倒ムウ帝国に向けて、海底軍艦が始動する。

原作ではロシアを敵対国としているそうですが、本作の敵は太平洋の海底奥深くで静かに牙をといでいたムウ大陸の帝国が相手です。
ムウ帝国は世界を相手取って宣戦布告するだけある軍事力が備わっていて、作中には世界中が攻撃を受けて大勢の死者が出た描写があり、結構スケールの大きな話だと思いました。

それに対するは戦争が終わったことを認められない人々により、孤島で密やかに開発していた日本軍艦で、現代の感覚ではリアリティを感じられないと思います。
ただ、この海底軍艦を開発していたのは、終戦時に伊403という架空の潜水艦に乗り込んで反乱を起こした神宮司という男という設定なのですが、伊四百型といえば大戦中海底空母と呼ばれ、凄まじい性能で戦果を上げてきた潜水艦で、403という名称こそ与えられませんでしたが四百型で402の次に計画されていた潜水艦は存在し、史実では戦局の悪化で作られませんでした。
もし作られていればムウ大陸が目をつけても不思議ではなく、私的にはムウ大陸に伊403が鹵獲されていたというのは非常に興奮した展開でした。

満を持して登場する海底軍艦は、少年のロマンを形にしたような機体です。
世界最高レベルの潜水艦が到達できなかった深度を凌駕し、全身武装、怪獣も倒す冷凍光線を射出、おまけに空も飛べる、極めつけは先端のドリル。
ドリルですよ、いやぁカッコイイ!ドリルは男のロマンですよね。
設定の粗だの、無理のある展開だの、このドリル戦艦の前には無力だと感じました。
プラモデルが欲しいなぁ。

ムウ大陸はマンダという海龍に守られていて、海底軍艦はこのマンダとも戦います。
マンダは後のゴジラシリーズにも登場するのですが、本作はメイン怪獣ということで、やっぱり迫力が違います。
深海に住む巨大な龍、ドラゴンではなくて細長い龍のようなフォルムをしていて、海中でこんなのに出会ったら一溜りもない不気味さがあります。
マンダ自体の造形は好きなのですが、活躍のシーンが少なく、轟天号に即座に退けられてしまうのが残念でした。

ラストは世界側の勝利で終わりますが、ムウ大陸にも平和に暮らしている人がいると思うと不憫に思います。
そういう意味では戦争の悲惨さのような教訓は描かれておらず、時代を感じました。