後にロジャー・ムーア版『007』3作を手掛けることになるルイス・ギルバート監督作品。主演は本作が出世作となったマイケル・ケイン。
"My understanding of women only goes as far as the pleasure. When it comes to the pain I'm like any other bloke - I don't want to know."
ロンドンのプレイボーイが華麗なる女性遍歴を披露していくロマコメかと思って観始めたが、実際は、女性を快楽として"消費する"ことでしか孤独を紛らわすことができない哀しき男の物語だった。
アルフィーの女性に対する無責任な言動の数々に辟易していたが、ラストのモノローグまで観ると、物語の本質が掴めた。どうすれば心の平安が得られるのか分からないまま、夜の街へと歩み去っていくアルフィー。そんな彼に優しく語りかけるようなシェールの歌声が心に響いた。
まさか66年の作品で、第四の壁を破ってくるとは思っていなかったので、冒頭から驚かされた。
スウィンギングロンドン時代の街並みや空気感が味わえる。アルフィーの服装やエンドロールがお洒落。サックスジャズのサントラも雰囲気たっぷり。
シェリー・ウィンタース扮する金持ち婦人が良い。アルフィーに対して、現実を突きつける強烈な一言を言い放つ。
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