がちゃん

レベッカのがちゃんのレビュー・感想・評価

レベッカ(1940年製作の映画)
4.1
私のヒッチコック作品BEST1は、実はこの作品なんです。
上映時間130分と、ヒッチコック作品の中では長尺の部類に入ると思うのですが、オープニングからエンディングまで、全くだれた演出がない。
観客はラストまで「わたし」と同じ不安をずっと持ち続けることになるのです。

オープニング、
「マンダレーには戻れない。
もう二度とだが時々夢の中で私の人生の中で、奇妙だった南仏での日々に戻る」と、「わたし」のモノローグからこの作品は始まります。

モンテカルロのホテルで「わたし」は、
大金持ちのマキシムと知り合い、結婚して彼の大邸宅に移り住む。
マキシムは1年前に妻をヨット事故で亡くしており、
「わたし」は後妻であった。

いままで富豪婦人の付き人として生活してきた「わたし」は、
今までと全く違う環境に戸惑っていたが、
なんとか環境に馴染んでいこうと精一杯の努力をする。

しかし、前妻レベッカの召使であったダンバース婦人だけは、
「わたし」に対して冷たい視線を投げかていた。
そして、じわじわと心理的に「わたし」を追い詰めていく。

怖いです。
画面には一切出てこないレベッカ。
彼女の幻影が強烈。
マキシムの大邸宅で舞踏会を開催することになるんですけど、
このシーンでのダンバース婦人の企みが、
実に巧妙で陰湿。
名シーンです。

マキシムもまだ、レベッカに対する想いを断ち切れていないのか、
時々、感情的になり「わたし」に辛くあたる。
次第に少しずつ「わたし」は不信感が芽生えていく。
「私はレベッカの代わりではないのか」

物語は後半になるに従って、
今度はレベッカの死に対する、謎解きサスペンスになっていく。
そして、アッと驚くラストシーンへと畳み込んでいくヒッチコックの演出はまさに名人芸。
素晴らしいです。

この作品、1940年度アカデミー作品賞、撮影賞を受賞してます。
幽幻的なカメラに受賞も納得です。
最初に書きましたが、この作品が、私のヒッチコック作品のBEST1です。未見の方は、ぜひご覧ください。
古い作品だからって、敬遠したら絶対損!
がちゃん

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