ひろ

レベッカのひろのネタバレレビュー・内容・結末

レベッカ(1940年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ダフネ・デュ・モーリアの小説「レベッカ」を原作に、アルフレッド・ヒッチコック監督が映画化した1940年のアメリカ映画

第13回アカデミー賞で作品賞と撮影賞を受賞した

イギリスからアメリカに渡ったヒッチコックの第一作目となった作品。イギリスでは自由に作品を作れたヒッチコックだが、数々の名作を世に出した天才でありながら、作品に口を出しまくるから嫌われたプロデューサー、デヴィッド・O・セルズニックには苦戦したらしい。しかし、結果的にはヒッチコック唯一の最優秀作品賞受賞作品であり、ヒッチコックも「セルズニックに与えられた賞だ」と言ってたとか。

映像技術や演出がすばぬけているのはヒッチコック映画では当たり前だが、陰影の使い方や音楽の使い方には驚かされる。この映画で驚愕なのは、サスペンス映画史上で最高に有名な“レベッカ”という人物の描き方だ。なんせ死んだ元妻なんだから一回も登場しない。なのに物語の端々に彼女の存在を感じる。対照的に主人公に名前がない。主人公より存在感のある存在しない人物という設定は、あまりにも大胆で斬新だ。

ヒッチコックほど恐怖を伝えるのが巧い監督は他にいない。ひしひしと伝わる恐怖感は、子供だましの脅かしなどでなく、作品の雰囲気から伝わってくるものなので、本当に怖い。オスカー俳優ジョーン・フォンテインやローレンス・オリヴィエの主演2人よりも、ジョージ・サンダースやジュディス・アンダーソンの演技がスパイスになっている。特に、ダンバース夫人を演じたジュディス・アンダーソンの不気味さは、恐怖を増加させていた。

サスペンスの神様ことヒッチコックは、間違いなく映画史に残る巨匠だ。ヌーヴェルヴァーグの神様とも言われ、後人に多大な影響を与えた偉大な監督だ。そんなヒッチコックが一度もアカデミー賞で監督賞を受賞していないのは信じられない。ヒッチコックの映画には、映画ならではの魔法がたくさんある。映画を学ぶという意味でも、ヒッチコック映画は必修科目なのだ。
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