留

レベッカの留のレビュー・感想・評価

レベッカ(1940年製作の映画)
4.0
実は子供の時に見ている。怖いダンバース夫人のアップしか覚えてなかったが。
2010年に帝劇でミュージカル版《レベッカ》も見た。
ミュージカルでも映画同様、モンテカルロでの私(ジョーン・フォンテーン)とマキシム・ド・ウィンター(ローレンス・オリヴィエ)の出会いと恋愛がすごく面白い。特に私の雇い主のアメリカ富豪夫人の俗っぽいいやらしさがすごくいい。籠に閉じ込められた小鳥のような私が、ハンサムな大富豪に見そめられ結婚して理想郷のように思い描いていたマンダレーに連れていかれる。籠から自由になった小鳥の私。
だがマンダレーは理想郷なんかではなく、美貌の先妻レベッカの亡霊がさまよっているような陰鬱で不気味な屋敷だった。それをレベッカを崇拝してやまない召使頭のダンヴァース夫人がすごくうまく現わしている。
ローレンス・オリヴィエも南仏での求婚者としての姿にどこかエキセントリックなとこがあり異常性を感じさせるのもうまい脚本だ。なによりマンダレーでの光と影、人の表情のアップにあてる照明が絶妙だ。
フランツ・ワックスマンの音楽もずっとなり続けているが、まったくうるさく感じない。扇情性がほとんどないせいだろう。すごく上品だ。
終盤、レベッカが溺死したというボートと死体があがってからの展開はサスペンスフルだし、結末も見事でアカデミー作品賞だけでなく、ヒッチコックに監督賞だっておかしくないと思う。
プライム・ビデオの画質はノイズが多く B- 程度。
留