ブルーノ

ビフォア・サンセットのブルーノのネタバレレビュー・内容・結末

ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

 ヒッチコックが『ロープ』で披露した「映画の本編と現実の時間が同時に進む」という手法を、本作でリンクレーターは、【容易に会えない特別な人との限られた時間】を描くのに用いた。そのことにより、観客は二人と同じ“今”を共有し、終わりが近づく度に彼らに押し寄せる「もう少しだけ…!」という感情の波が、これでもかというほどひしひしと伝わってきた。さらには、前作公開からの9年という時間経過を劇中に反映するという実験的な試みもしており、二人の時間をよりエモーショナルなものにしている。形式と主題の見事な掛け合わせにより、観客に“今”という時間と向き合わせ、その有限性や貴重性を気づかせてくれる稀有な作品。およそ80分というランニングタイムも、製作上の都合なのかもしれないが、特別なひとときに対する「もう終わり?」という物足りなさを擬似的に再現しているのかなと思ったりした。劇中の二人同様、「まだ終らないでくれ」と映画に対して思ったのもあまりない経験だった。
 最後に、二人の人物のどちらにも自分と重なる部分があり、本作は世にいう「自分の映画」であった。特に個人的ハイライトは、「欲望」に関する二人の会話。自分はまさにイーサン的な人間なので、ジュリー・デルピーの意見にかなりやられてしまった。個人的偏愛映画。

★2nd…2023/2/23【U-NEXT】
5.0→4.0
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