紫のみなと

ビフォア・サンセットの紫のみなとのレビュー・感想・評価

ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)
4.0
このビフォアシリーズ、すごく若い時にサンライズを見て、当時はあんまりピンと来ませんでした。会話劇というスタイル、イーサン・ホーク、どちらも好みじゃないのもあってか、、

しかし先日、サンライズをひょっこり再見すると、何だか思いがけず非常に良質な映画体験となりました。
若い頃のイーサン・ホークってアラン・ドロンみたい!とは言い過ぎでしょうか。こんなに美しかったのに、若い頃の自分には刺さらなかったんだなと不思議。J・デルピーは当時、白雪姫のような美貌にこんな綺麗な人がこの世にいるのかと憧れましたね。

このシリーズファンの人が、それぞれに面白いと言うので、続いて鑑賞してみたサンセット。これも大変良かったです。サンライズよりこちらが好きかもしれません。

サンセットを観ながら振り返ると、サンライズで2人がどうして連絡先を交わさなかったのか解るような気がしてきます。列車が動き出す瞬間の切迫感や高揚する切なさが、9年後の2人を観ることで、まるで思い出を振り返るようにさらに胸に迫ってくる。

映画における会話劇って、魅力的に撮るのはとても難しいと思っているのですが、この2人…特にJ・デルピーの鈴をころがしたような笑い声や喋り方はとても爽快で、あっという間に引き込まれてしまいます。また、喋りまくるデルピーを見つめるイーサン・ホークのまなざし、自分にとって特別な、ソウルメイトというべきか、運命の女の子というべきか、とにかくこの子がそうなんだ!と、感動と驚きがキラキラと吹き出ている。イーサン・ホークのまなざしは喜びそのものです。

その躍動感がかえって、この映画を徹底的に切なくさせています。お互いこの人だと思える相手と出会えたのに、違う相手と人生を共にしていかないといけない、1番好きな人と結婚出来ない。これは出会ったことが不幸なんでしょうか。知ったことは不幸なのか。若い女の子のようなことを考え込みながら、ラストのニーナ・シモン…!サンセットは終わり方も良かった。
これは近々ミッドナイトも鑑賞しなければな、と思いました。