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ビフォア・サンセットのちのネタバレレビュー・内容・結末

ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

エンドロールが始まった瞬間に"映画"を観た感じがした。

始まって20分くらいで『この映画一般的な(個人の感覚やけど)映画と違うな』って思った。
二人だけの時間と空間と思い出を自分も何故か見て体験しとる感覚になった。
第三者やのに二人になったみたいな不思議な感覚。

最初から最後まで少しでも過ごす時間を引き伸ばしたいジェシーと心の中の色んな葛藤や感情に揉まれながら一線を引くローレン。
二人の心の内が見えるようで見えやんようで、二人が絶妙にすれ違うのがこれが二人の運命なんかなと思った。
二人の言葉選びや考え方が素敵で芯があって、お互い胸の内や弱さを曝け出しとるのが良いなあとか思って、ローレンの見とる世界や彼女の物事の捉え方が本当に好きで綺麗やった。
タクシーの中で発狂してしまった時のローレンが本音を言えたローレンな気がした。

あのワルツ音源として欲しい。繰り返し聴きたい。綺麗で儚い曲やった。ローレンの歌声とギターもめちゃくちゃ良かったなあ。最後にもう一回一気に世界に引き込まれた。二人だけの空間と時間をなぜか見れているわたしって感じやった。
色んな人の、有名とか偉いとか特別な集団に属しとるとか、そういうのじゃなくていい意味でありふれた人たちの恋愛の話が集まった本を読みたいってずっと思っとったけど、その本の一章を読んだみたいな気分になった。

終わり方が伏線回収というか、ジェシーが書いた本と同じような終わり方で、ジェシーが言うところの観た人(読む人)によって結末が変わる終わり方やなと思った。
ここで終わりなんですか!?って声出たけど、よく出来た構成やと思った。

二人はもうあの日には戻れやんくて、でも忘れられやんくて、でも会えやんかったから綺麗な思い出なんかもしれやんくて、わたしの今の解釈ではあの二人はもう一回何も始めずにお互いの人生を歩んでいくんかなと思った。
もっと野生的な結末とかも考えられるけど、そうなったらきっと思い出が汚れて塗り替えられてしまうからそうなって欲しくない。ハッピーエンドの映画が好き

人生こういうどうしようもないことって起こるんやろうなあって思う。
自分は今まで情熱的に恋に落ちて誰かを愛したことがなくて、一体どんな風なんやろうってぼんやり考えとった。
若いから情熱的に燃え上がれるんかなとも思った。
変に保険かけて熱くなることに臆病になってしまったらもうそういう経験は出来やんのかなとか思ったり。
恋愛/結婚はバカがすることやとか何も考えてなかったら恋愛/結婚なんてできんっていう人おるけど、いい意味で楽観的に生きてないと恋愛ってできやんもんなんかな??
わりと運命とか信じとるタイプやからどこかに難しいこと考えたり良いところと悪いところ天秤にかけたりしやんでも一緒に幸せに生きていける人がおると信じとる、というか信じたいけど一体どうなんやろうなあ

他の映画やったら簡単に本能に従って一線超えてそっからどうのこうのって話になってそうな場面いっぱいあったけど、そうならんくてお互いがリスペクトと理性を持って接しとる姿が美しかったな。
綺麗で切ない映画やった。絶対また観る。

(追記)
たった今他の人のレビュー見たらこれシリーズの2作目やったんかい!!通りで聞いたことある題名やと思ったら観たかったもう一つの映画が一作目やった……
もちろん一作目観ます。先に観とったらなおさら良かったやろうなあ…。
あんまり過去のことがわからんかったからこそ良かった部分もあるんかもしれんから勝手にプラスに捉えていく
ち