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ビフォア・サンセットのペジオのレビュー・感想・評価

ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)
4.2
瞼を閉じても夢の続きは見れない

「再会しない」方がロマンティックだよねと思う自分はいて、それでもやっぱり「会いたい」と思う自分もいるわけで…
個人的には前作の方が好きだった
だが、それは劇中の2人の様に、あの一日を美化された「夢」として認識しているからだと思う
おそらくはそれを計算して作られているのだろう…前作の夢としての純度を上げるという意味ではこの映画単体としての評価よりも、作られた意図に沿った「役割」としての完成度を考えなければならないのかもしれない

観た人それぞれが脳内補完していた「2人のその後」の公式発表
互いに知らない相手の人生を背景に、牽制しあう様な距離感
相手の人生において「自分」の占める割合ってどれくらいだったんだろうか?
あの頃の素直になれなさとはまた別種のもどかしさ(なんというか…前作では「僕が君を想う気持ち>君が僕を想う気持ち」でケンカしそうな感じだったのが、本作では逆になっているような感じというか…。)は9年という時間経過をリアルに感じさせてくれる
ボートや車という「乗り物」に乗ることで、それまでのまわりくどさが嘘のように本音が爆発していくのは、隔絶された時間とか何とか…意図的なものを感じたりもする

前作がだいたい半日を描いていたのに対して、本作が劇中の時間とほぼリアルタイムであるのは『インセプション』の様な夢の体感時間の違い、あるいは「楽しい時間はあっという間…じゃあ本作における2人の心情は…」って事かしら(あるいは前作が実は本作の時間軸で語られる「思い出」という事なのかもしれない。次作は未見だが更に時間を圧縮したスラムダンクの様な映画になってるのだろうか?)

おそらくは更なる「現実」を描いているであろう次作があること、作品の基になったリンクレイター監督の「実体験」の顛末(再会できなかったらしい。)を踏まえると、ラストの気怠い曲やダンス含め「まどろみ」の様な「夢を引き摺った」映画だったなあと
だから瞼を閉じるように映画は終わる…夢の続きを見る為に
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