CANACO

刑事ジョン・ブック/目撃者のCANACOのレビュー・感想・評価

3.3
『いまを生きる』『トゥルーマン・ショー』のピーター・ウィアー監督作品。
主演はハリソン・フォード。
1986年、ノミネートされたあの『バック・トゥ・ザ・フィーチャー』を抑えてのアカデミー脚本賞受賞。

良い意味でも悪い意味でも、今まで観たことのない構成の映画だった。

ペンシルベニア州で暮らすアーミッシュの母子は、最近父が他界した。2人がペンシルベニアからボルチモアに移動する途中、息子のサミュエルが駅のトイレで殺人事件を目撃してしまう。そこに駆けつけたフィラデルフィア署の刑事ジョン・ブック(ハリソン・フォード)と相棒のアーサーは、2人を引き留め、サミュエルに面通しをさせる。そこから始まる警察内部もの×ほのぼのアーミッシュストーリー。

冒頭の16分くらいまで抜群に面白い。意外にも倒叙(犯人が最初にわかる展開)で、いきなりクライマックス。スリルがあり引き込まれる。その後も「そうなの⁉︎」という展開が起こり、飽きさせない。これは脚本賞だ〜と思った。

しかし中盤は、まるで別の映画を観ているようなシーンが続く。私はこの場所にジョンが来た理由を忘れそうになった。監督がすごく興味をもった対象だったからこそ、ここまで描いたのだと思うけど、この長さでやるなら別作品として観たかったかも。

個人的おすすめは、サミュエルくん(ルーカス・ハース)の異常なかわいさと、ハリソン・フォードの貴重な「それはのぞきです」シーン。イケメンなら許されるんだね。

後半はまた前半の勢いを取り戻すが、ことの顛末はどうも消化不良。ラスボスはなかなかの悪だと思うが、また意外にも昔話的な終わり方。
うーん、統一感や世界観含めてやっぱり『バック・トゥ・ザ・フィーチャー』に脚本賞を獲ってほしかったなあ。

▪️アーミッシュ・メモ
アーミッシュは、キリスト教を信仰するドイツまたはスイスからの移民集団。アメリカのペンシルベニア州、インディアナ州、オハイオ州中心にアーミッシュ村をつくり、産業革命後の文明の利器(電話、車など)を一切使わない質素な生活を送る。
移動は馬車、人を呼ぶ時は鐘、読書は聖書。暴力は厳禁。農耕や牧畜で自給自足している。服装も厳格に決められている。アーミッシュ以外の人間を「イングリッシュ」(または「ヤンキース」)と呼ぶ。

「ステラおばさんのクッキー」でお馴染みのステラおばさんは、ペンシルベニア州で暮らしていた。アーミッシュの女性と同じく、ボンネット(帽子)を被っている。
CANACO

CANACO