ボブおじさん

刑事ジョン・ブック/目撃者のボブおじさんのレビュー・感想・評価

3.9
「インディー・ジョーンズと運命のダイヤル」で80歳のハリソン・フォードを観てきたら、無性に彼の若い頃の作品を観たくなった。でも「スター・ウォーズ」見出すときりないし😅

かと言って「アメリカン・グラフィティ」や「カンバセーション」は、彼の映画とは言えないので、DVD所有のこの作品を久しぶりに鑑賞。

ペンシルベニア州のアーミッシュの村に住む、夫を亡くした若い女性レイチェルと幼い息子サミュエルは旅行中、都会のフィラデルフィアに寄るが、サミュエルは駅のトイレで偶然、〝殺人事件を目撃〟してしまう。

警察署で取り調べを担当した刑事ジョン(ハリソン・フォード)にサミュエルは、なんと警察署で見たジョンの同僚(「リーサル・ウェポン」のダニー・グローヴァー)が犯人だと証言。

この時の少年とジョンの無言のシーンがサスペンスフルでいい。警察組織全体の不正を直感したジョンは母子を連れて町から脱出。ジョンは村でアーミッシュの人々と共同生活を送りだす。

〝インディー・ジョーンズ〟〝ハン・ソロ〟〝ジャック・ライアン〟とシリーズ化された大ヒット作の主役(準主役)を3つも持つ超人気俳優のハリソン・フォードだが、その演技力が評価され出したのは、この作品からではないだろうか?

まずサスペンス映画として脚本が良く出来ており、更にヒューマンドラマとしての作りも優れている。特に本作がユニークなのは、現代文明を拒んで大自然の中の共同体で電気も使わず暮らすアーミッシュ(厳格なキリスト教徒の一派)を映画の題材に取り上げた点。自分も含めアーミッシュの存在をこの映画で初めて知った日本人も多いのでは?

彼らの平和な世界の中、ジョンと少年の母親(「トップガン」のケリー・マクギリス)が、つかの間の恋に落ちてしまう。宗教の壁を超えた恋が切ない。

お互いに好意を持つ2人が、言葉少なく目で交わす愛情表現は、少年の存在も含め西部劇の名作「シェーン」を彷彿させる。

「いまを生きる」のピーター・ウィアー監督がオーストラリアからアメリカに初めて乗り込んで手掛けた本作。2人のプラトニックな関係から一転してスリリングなアクションへと転調させる場面展開などの演出も冴え見応えがあった。


〈余談ですが〉
ハリソン・フォードのフィルモグラフィーを改めて見てみると、彼が意外と遅咲きだったことがわかる。

ほとんどの人が彼の名を意識したのは大ヒット作「スター・ウォーズ」のハン・ソロ役からだろうが、この時彼は既に35歳。
遡って青春映画の「アメリカン・グラフィティ」にちょい役で出ていた時でさえ30歳を超えていた。

売れるまでの間は大工をするなど苦労も多かったようだ。本職だったのだから当然だが、本作の中での大工仕事が様になっている😊

ハン・ソロ役で売れてからは、アクション・サスペンス・SF・恋愛映画と、ほとんど途切れることなくいろんな映画にチャレンジした。まるで遅れてきた青春を出来るだけ長く楽しむかのように😁