Yoshishun

刑事ジョン・ブック/目撃者のYoshishunのレビュー・感想・評価

3.6
“サスペンスとしては肩透かし”

殺人事件を目撃した少年とその母親を守るべく、1人の刑事が奔走するサスペンスドラマ。アカデミー賞では脚本賞と編集賞を受賞し、ハリソン・フォード主演最高傑作とする声も少なくない作品だ。

目撃者というタイトル、ハリソン・フォードが命懸けで2人を守り切る地獄の逃避行を描くかと思いきや、案外中盤は2人の生まれ故郷であるアーミッシュ村での日常パートが長い。すぐに手が出てしまい、喧嘩早い性格が災いして孤独だった男が、誰かを守ることで使命と癒しを知っていく過程が重要であるため、捜査パートはあっさり犯人が割れる展開となっている。サスペンスとしてはやや物足りないか。

それでも終盤の事件の決着の付け方は変に刑事もののような派手な見せ場でなく、刑事としてあるべき姿を問う社会派なエンディングになっていたり、そもそもハリソン・フォードという大物を起用してまで異文化交流の難しさと大切さを説いたりと、批評家受けがかなり良かったのも頷ける内容だといえる。
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