みてべいびー

去年マリエンバートでのみてべいびーのネタバレレビュー・内容・結末

去年マリエンバートで(1961年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

今まで自分が観てきた映画の中でもトップを争うほどの映像美。ほぼ宮殿のような建物のバロック調の室内と広大な庭だけなのに、構図から何から完璧に計算し尽くされていて目が離せない。何ならセリフが全く入ってこなくて、何度も巻き戻す羽目になった。
観ている途中ふと思ったのは、この二人は毎年毎年このやりとりを繰り返しているのではないか、ということだった。それは女に去年の出来事を思い出させようとその様子を語る男の声に合わせて、違う服装をして違う場所にいる彼らが重ね重ね映るから。きっとこの屋敷はブルジョワたちの生活そのものの象徴なのだと思う。休暇に来ていると言ってはいるが、彼らにとっては毎日が休暇。ひたすらゲームや賭博をして刺激のない怠惰的な生活に甘んじている彼らに、この屋敷から抜け出すことはできない。囚われていることにすら気づかない。男が何者でどこからやってきたのかはわからないが、時折そこに属する者ではないかのような雰囲気が感じられる。成り上がりかよそ者か。女が夫らしき人物と別れ彼と去るのを渋るのは、この屋敷での退廃的ではあるが贅沢な生活を捨てること、つまりブルジョワとしての地位をなくして生きていかなければならないからなのだと思った。
あのマッチのゲームやってみたい。若干気になったのは、絶対演出通りとはいえ主演の女優さんの話し方が芝居がかりすぎてて入り込めなかったこと。
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