一人旅

去年マリエンバートでの一人旅のレビュー・感想・評価

去年マリエンバートで(1961年製作の映画)
2.0
第22回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞。
アラン・レネ監督作。

館で男は女に話しかける。去年マリエンバートで一度会っているというのだ。しかし女にそのような記憶はなかった。男が事の真相を少しずつ説明していく中で、女の意識に変化が訪れる・・・。

時系列がバラバラである上に、男が説明しながら映し出される過去の記憶映像が真実なのか偽なのか判別できない。苦痛レベルの退屈さだったけど、分かったような分からないような・・・。

真実というのもは案外脆弱で、個人個人の認識に依存するものなのかもしれない。
例えば、目の前に一つのリンゴがあったとする。「リンゴがある」という事実は人間が視覚を通じて脳で認識した結果だ。人間の認識なしに、リンゴ単体での存在を証明することは出来ない。
この映画で言えば、男が去年実際に女に会っていたとしても、あるいはそうでなかったとしてもそんな事はもしかしたら関係のないことなのかもしれない。そう考えてしまえば、男や女が見せる記憶の断片が真実か幻想か判別しづらくしていることにも納得できる。
真実は人間の認識によって初めてもたらされるものだから、「会った」「会わない」それぞれ単体で真実と成り得るとは思えない。男の主張する「会った」という認識(真実)を女も共有してしまえば、それはもう真実なのではないだろうか。
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