不在

去年マリエンバートでの不在のレビュー・感想・評価

去年マリエンバートで(1961年製作の映画)
4.2
映画の舞台はマリエンバートにあるとされる一つのホテル。
メインキャストは男と女とその夫。
他には彼らを取り巻く宿泊者が大勢いる。
しかし舞台となるホテルやそこにいる人間には、生気というものがまるでない。
何かしらの理由により全員がここで死亡し、留まった霊体が生前の自分を演じ続けているかのようだ。
そんな彼らによる、時間や生死すら曖昧な舞台劇を我々は観ることとなる。

恐らく主人公の男は去年その女性を強姦し、それを知った彼女の夫が彼に詰め寄った際に、男は事故により死亡。
なおも怒りや嫉妬が収まらない夫は、妻をも殺してしまう。
主役の男はいわゆる成仏が出来なかったのではないか。
女に振り向いてもらいたいが為にこの世に留まり続け、それが実現するまであの世には行けない。
それ故にまるで刷り込みのように彼女に語りかけ、付き纏うのだろう。
正直なところ、あまりの難解さに一度観ただけではこの程度の解釈で精一杯だ。
しかし神経質と言っていいほどの映像や、衣装の美しさは本物だ。
まずはそれを楽しむべきだろう。
不在

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