宗教儀式が、対比的に描かれる。
キリスト教の儀式が幾度も描かれる中もっとも印象に残るのは、たった1回のユダヤ教の儀式。
日本公開時のパンフレットにはこのように書かれています;「40年以上待って、やっとつくることのできたわたしの真の処女作が、この映画です。」
監督は、本作に「若々しい活力、感受性のほとばしり、心の高揚の反面、成熟した節度のある表現」を込めたそうです。
「語り残すこと」がテーマだった戦後60年の節目以降、戦争経験者がこれまで心のうちに秘めてきた話が明るみに出る場面が増えてきました。彼らの語りにも、同じような要素が散りばめられてはいなかったでしょうか。
人の心の中で長い間熟成された語りとは、どのような魅力を持つでしょうか。
ナチス占領下のフランスに留まらず、長い間人の心に秘められた語りが放つ魅力を纏っている点は、本作の見落とし難い美点です。
"tous les temps."
"Au revoir les enfants."