mh

ダーク・ブルーのmhのレビュー・感想・評価

ダーク・ブルー(2001年製作の映画)
5.0
WW2当時イギリス空軍に参加したチェコスロバキア義勇兵(亡国のチェコ空軍)が題材の戦闘機もの。
この手のものには珍しく、実機(スピットファイヤ!)を使った大迫力の空戦と、ベタな恋愛ドラマというバランスが見事でめちゃ面白い。
ミュンヘン会議からの流れでチェコスロバキア解体からスタート。理知的で大人な上官と、幼くていい若者のバディものとして進行。
「ドイツ人が多いから、チェコスロバキアのそこはドイツでいいよな」ということをイギリスとフランスとドイツとイタリアで決めたというミュンヘン会議あたまおかしい。
(ついでにメモっとくと、ミュンヘン会議のせいでナチスドイツがチェコに侵攻してきたのにそれでも無視してたイギリス・フランスがいかれてる。もっともそれが電撃戦の利点ということなんだけど。勢いづいたナチスドイツは調子に乗ってポーランドまで占領してしまう)
(エンスラポイド作戦に参加したメンバーはチェコ陸軍に所属してたのでこの映画とは関係があるようでない)
飛行機がどんな仕組みで飛んでいるのかとか、操縦桿にどの位置に機銃のトリガーがついてるのかみたいなものを、たくみかつさらっと見せてくれるので画面から目が離せない。
道が悪くて揺れるサイドカーとか地味だけどめちゃありがたい。
あと、犬がまじかわいい。
せっかくナチスドイツに勝ったのに、こんどはソ連に占領されるというヨーロッパのあのあたりが味わった屈辱も描いてる。
手首に入ってるSSの入れ墨とか聞いてはいたけど初めて見た。
「ナチス親衛隊と戦ったことは?」みたいな会話が交わされる。なるほどドイツ国防軍とは戦っても、その奥にいたSSと戦った軍隊は少ないのか。
国をなくしたもの同士(以前は敵同士)の連帯感とかそういうあたりまでフォローしてくれてる。
ゴムボートを膨らませるくだり。未亡人に近づくときにかけた「行方不明者もひょっこり帰ってくる」のセリフ。ロンドンへの道をたずねるアドリブなど、シナリオもうまかったなぁ。
みなさんの感想にある「自業自得」という言葉に笑ってしまう。
「生き残りをみたら臆病者だと思え」ってなんの映画の名言だっけ?
ラストのスライドでちょっとだけ報われるけど、ちょっとなところがまた良かった。
スタジオジブリシネマレーベルというところから第一弾にリリースされたDVDだけど、ジブリは映画制作には関わってない。DVD化の権利を得て、ジブリメンバー総出でブランディングしたのに、ぜんぜん見られなくて面白い。そもそもスタジオジブリシネマレーベルが二本しか出てない。
おおかた鈴木敏夫が気に入って、宮崎駿に見せてみたら意外にも食いついたってところか。
それにつけても、犬のかわいさよ。
いやーほんと良かったっす。これ。
mh

mh