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洗濯機は俺にまかせろのkatsuのレビュー・感想・評価

洗濯機は俺にまかせろ(1999年製作の映画)
3.9
初めてフィルムで映画を観た。映像の質感も音のザラつきも独特で、当時の空気感と相まって今の世代には逆に新鮮に映った。

筒井道隆さん演じる木崎の純朴さと富田靖子さん演じる節子の天真爛漫さが交錯し、揺れ動く淡い恋愛模様が観ていてとても愛おしい。小林薫さん演じる大紙の男の魅力とだらしなさが混じった色気がそこに絡み奇妙な三角関係を描く。

所々会話のテンポが漫才に近く、会場が何度も笑いに包まれていた。その時代の下町の雰囲気の良さが伝わってくる演出で、人情があり優しさがあり人間としての駄目な部分がしっかりと描かれていて好感が持てた。大量に積まれた中古のテレビが色とりどりに輝きその前に佇む木崎と節子のシーンはとても美しかった。

人は誰しも中古品のように欠陥があり、時に故障して動けなくなってしまうが、しっかりと休暇を取ってその欠陥と向き合い直せば、また輝ける。そんなメッセージをラストシーンの修理された洗濯機たちから受け取った。
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