雨宮はな

ウィズの雨宮はなのレビュー・感想・評価

ウィズ(1978年製作の映画)
3.0
ミュージカルとしては弱い、が、美術とキャストがとにかく強い!
人間の成長を表す、オールブラック『オズの魔法使い』!

主人公を黒人の設定にするっていうのは、こういうことだよ!
設定を変えたり、伝えたいメッセージに寄せるっていうのは、こういうことなんだよ!!
時代も場所も時期すら違って、ドロシーの共通点は名前と「トトを飼っている」ことだけ。
最初は「どうするつもりだろう」と思っていたけど、観ているうちに何の違和感もなくなるんだからすごい。

セットから衣装、特殊メイクにいたるまで美術さんの本気がバーストしっぱなし。
何を見ても、どこに目を配っても、ほんの少しも「これくらいでいいか」が無い。
モブキャラさえ名前付きと同じくらい力の入ったデザインがされ、布が使われる。

役者さんたちは全員すごいんだけど、思わず目で追ってしまったのがダイアナ・ロスの脚さばきとスカートの翻り。
それと、マイケル・ジャクソンの一時も気を抜かないカカシムーブ。
ジュディ版のカカシと似ているようで違う、個性のある体の動かし方はさすがだった。

個人として気になったのは音楽。
ひとつひとつ、各“歌手”が歌ってる分にはいい曲に聞こえる。
だけど、ミュージカルソングとしては弱いし、メッセージソングは全部同じに聞こえた。(歌い方もほぼ同じだし)
「この道をまっすぐ行こう」と「悪い知らせを聞かせるな」くらいしか聞いていてシーン分けできる曲がない。
実際の舞台で「ライブショウ」としてやるぶんには盛り上がると思うけど「ミュージカル」としてはどうかなという感じ。
雨宮はな

雨宮はな