ダイナ

エスケープ・フロム・L.A.のダイナのレビュー・感想・評価

エスケープ・フロム・L.A.(1996年製作の映画)
4.2
「ニューヨーク1997(1981年)」から15年、主演カート・ラッセルが制作に参加するほどの熱い希望により実現した本作。カーペンター映画特有の良くも悪くある淡白さは薄まっておりバラエティ豊富な意欲作です。フォーマットは前作とほとんど同じなものの、バイクチェイスや銃撃戦におけるアクション面の迫力が前作からかなりパワーアップしており、客を楽しませてやるという心意気が伝わってきます。

そしてトンデモ感満載な映像が面白いです。ボブスレー風の乗り物を落とすまいと必死に掴む序盤からニヤニヤしていたのですが、死を伴うバスケやサーフィン・ウォーキングマシン、陸海空で様々なアプローチで楽しませてくれるというかかなり笑ってしまうシュールなシーンが多くそんな点がとても気に入ってます。人形の頭部を並べている車の悪趣味さ、おもちゃみたいなでけえ銃、エロい格好の女達、チープなCG、世紀末のような民衆、想像を掻き立てる残虐描写、爆発etc。B級映画の良い所が詰まったおもちゃ箱。馬鹿らしくもありかっこよくもありエネルギッシュで良い!

カート・ラッセルの渋かっこよさが懐かしくたまらなく、スティーブ・ブシェミの場を和らげる軽さも改めて彼がバイプレイヤーとして優秀であることを認識できます。登場人物達の思惑交差する脚本も好みです。アメリカのスピリットは消えてはいない、カーペンターの手数の多さを知る一作。
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