アニマル泉

昇天峠のアニマル泉のレビュー・感想・評価

昇天峠(1951年製作の映画)
4.5
ブニュエルらしい庶民の猥雑さ、エネルギー、土着性、エロスがムンムンと充満するバス映画だ。満員の車内のグループショットがいい。冠婚葬祭が全て描かれる。出産はフォードの「駅馬車」もそうだが乗り物で移動中に起きやすい。ブニュエルは人間も家畜も同等だ。バスが川を渡る場面、水牛が引っ張るのがいい。この場面はもちろんラケル(リリア・プラド)の足のエロスだ。
オリベリオ(エステバン・マルケス)のラケルとの不倫の妄想も面白い。果実の皮がオリベリオの口から伸びてカメラが上昇すると母親が果実を剥いている。ブニュエルらしい「高低差」だ。「高低差」といえばもちろん昇天峠の急な坂道だ。雨の中、峠越えでオリベリオはラケルと関係を持ってしまう。しかし抱かれてしまえばラケルはすっかりオリベリオに関心を無くしてしまうのが可笑しい。
道の前進ショットが多用される。ブニュエルが好きなショットだ。
白黒スタンダード。
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