半兵衛

人生選手の半兵衛のレビュー・感想・評価

人生選手(1949年製作の映画)
3.0
田中重雄監督の演出が普通すぎてあまり面白味がなく、黒澤明が手掛けていたら傑作になっていたのだろうなと余計なことを考えてしまったがそれでも野球経験者である菊島隆三の脚本が完成度が高くて見ごたえはあるし役者たちはみな好演しているのでそれなりの出来栄えの作品に。

お金持ち出身でお坊ちゃん気質の小林桂樹、貧乏な家の出自でハングリー精神に溢れる堀雄二とメインとなる主人公のキャラクターと役者の個性が合致していた。そして堀が故障をきっかけに魔球を完成させるエピソードが熱い(野球漫画でよくある展開はこの作品が元祖なのか)。脇では浦辺粂子がいい味をだしていたし、あるトラウマから子供が苦手になった堀に「今度から球場に子供の入場を禁止してやるよ」と毒を吐く江川宇礼雄がハリウッドの俳優みたいでめちゃくちゃかっこ良かった。

戦後に活躍していた実在の野球選手が出演しているのも見所。
半兵衛

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