フランス映画特有の気だるくアンニュイなフィルム・ノワール作品。
ひたすらイザベル・アジャーニの美しさとハッとするような七変化にいちいちうっとりさせられる。
殺人を繰り返すカトリーヌ(アジャーニ)に亡き娘の影を追い、執拗に尾行する探偵(ミシェル・セロー)。ボソボソとナレーションの如く抑揚のない独り言を呟きながらストーキングする様は 本来なら説明セリフにゲンナリするところが意外と嫌いじゃない雰囲気を醸し出すから不思議。
終始掴みどころが無くプロットとして明確なものは感じられない。壊れた女と壊れた男の ぼんやりと独特なテンポで進む展開はある意味癖になり、ある意味物足りなさを感じるところでもある。
ただ、思わず声を上げてしまった圧巻のラストショットは、やり切れなさを感じつつ強烈に記憶に刻まれた。