首塔えい

ありふれた事件の首塔えいのレビュー・感想・評価

ありふれた事件(1992年製作の映画)
3.2
ある殺人鬼ベンの日常を
POVモノクロ映像&同行するスタッフの撮影した
ドキュメンタリーという体でお届けする
いわゆるモキュメンタリー映画というやつ。
1992年のベルギー映画。この手のハシリかも?
ブレア・ウィッチ・プロジェクトよりも先に
こんな作品があったとは…
かつてはレーザーディスクや
ビデオで販売されていた作品らしいが
今はアルバトロスから安価なDVDが販売中。

躊躇なくそのへんの人をバンバン殺しつつ
自分の美学をベラベラ喋りまくる姿は
不快指数満点でありながらも、
どことなくユーモラスですらある。
サスペンスやホラーではなく、
あくまでブラックコメディのようなノリで
撮られているが、倫理的に許されない場面が
いくつもあり、胸糞悪くなるのは間違いない。

殺人した直後でも平気な顔で
酒やメシ食いに出かけるし
家族とも仲良くやっている殺人鬼。
撮影スタッフ達もただ撮るだけじゃなく
死体を片付けたり◯◯したりといった
共犯者となっていく…我々観客も同様に、
観てはいけないものを彼らと一緒に
目撃している感覚に陥る。
なんなら殺人鬼ベンよりも
撮影クルーのがイカれてる気もする。

彼らの撮ったこの映像が
何故こうした形で編集されて残っていて
我々に観られているのか?という視点も加われば
より構造的な面白みが増したかもしれない。

道中、別の同業者と遭遇する場面では
そちらにも殺人者に撮影クルーがついてて草。
今で言う迷惑系や私人逮捕系みたいなノリで
この映画の世界ではそういう過激なのが
一部で流行ってんの???

友人たちとのパーティーでのアレは
不謹慎ながらちょっと笑ってしまった。
めっちゃ気まずい感じになってて草。
彼の悲しむ優先順位が謎。
首塔えい

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