茶一郎

レディバード・レディバードの茶一郎のレビュー・感想・評価

3.1
(記録)
原題は童話マザー・グースの「てんとう虫(レディーバード)、てんとう虫」から。
「てんとう虫、虫。お家へお帰り、お家は家事で、子供たちは、一人を残して焼け死んだ。フライパンの下に潜ってたおかげで、助かったんだとさ」
 
 家庭内暴力からシングルマザーに、上述の可愛い童話の通りの状況を前にして「養育する能力なし」と政府に見なされてしまった母親の地獄のような生活を映す。「ゆりかごから墓場まで」でお馴染みイギリスの社会保障制度は手厚いイメージがあるが、今作はそんなご丁寧な社会福祉が招く出口のない地獄を描いた。
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 私はケン・ローチ監督ほど優しくないので、鑑賞中、愛はあるのだがネグレクトと見えてしまう行動を平気で取る母親に同情する気持ちは湧かなかった。システム上、子供を施設に入れなければならない(どうにも、これを社会が「母親から子供を奪った」と見られない)母親に優しくなれない。
 一方で、後半になると「いくらなんでもこの仕組みでは悪循環なだけ」と少し心変わりした。誰が悪いということでもないが、このシステム、どうにかならないものか。
茶一郎

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