Hideko

春のソナタのHidekoのレビュー・感想・評価

春のソナタ(1989年製作の映画)
4.0
原題: Conte de printemps
英題: A Tale of Springtime

フランス映画を見るたび、フランス人って普通に教育を受ければ物事を哲学的に語れる人が殆どなの?と驚きます。登場人物の年齢関係なく哲学をテーマにした映画も数多くありますね。国を挙げて哲学教育には力を入れているそうだけれどそのレベルがかなり高いのだと想像出来ます。難解な言葉もフランス語でそのまま理解しているわけではなく、字幕なので多少の意味合いやニュアンスの違いはあれど物事の原理を語らせたらその饒舌なことに驚きます。哲学と聞けば難解で、映画としても面白味に欠けるのではと思いがちですが、本作、最初から最後まで登場人物たちが語り合っているのだけれど全く飽きることがなく置いていかれることもないです。

誰も人を意のままにままにコントロールしたりすることは出来ないし、一人ひとりその思想は千差万別で一見争いだらけに思えるようなこの世の中も、お互いの主義、理念、信条、信念、哲学、人生観、世界観 etc…を撥ねつけることなく受け入れる態度があればうまく成り立つのだ、というロメールのメッセージが聞こえてきそう。

ロメール作品「喜劇と格言劇」シリーズから観始めて、ちょうど10作目に当たる「四季の物語」シリーズ第1作の本作。ベートーヴェンのバイオリン・ソナタ『春』がオープニングとエンディングに流れ、美しい春の柔らかな空気を感じ、またフォンテーヌブローの別荘の作り込まない庭の美しさも格別です。

ラストで首飾りの行方が明らかになりますが、このシーンお気に入りです。

パリの春が如何に希望に満ちた雰囲気を持っていることか🌸🌿🍃ベートーヴェンの曲と共に華やいだ気分で鑑賞を終えました。

※作中で演奏されるヴァイオリンソナタは
Sonata for Violin and Piano No.5 in F Major, Op. 24 “Spring”
(ヴァイオリン・ソナタ 第5番 へ長調 作品24 《春》)

の中の 第4楽章 です。

https://youtu.be/EjvxBV4Vysk

4楽章から成るこの作品は第1楽章も超有名で一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?

以下の演奏が全楽章の演奏です。

https://youtu.be/zOFCltUxuRc

全楽章聴いてみたいという方は是非。第4楽章は16:35辺りから始まります。

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