アニマル泉

春のソナタのアニマル泉のレビュー・感想・評価

春のソナタ(1989年製作の映画)
4.5
ロメールの四季シリーズの第1作。ベートーベンのソナタがテーマ曲として響く。哲学教師のジャンヌ(アンヌ・ティセードル)が4つの部屋をちぐはぐと移動する羽目になる物語だ。ジャンヌは恋人が出張なので彼のアパートから自宅に帰るが、従姉妹がもう少し貸してくれと言う。居場所がなくなったジャンヌはパーティーで知り合ったナターシャ(フローレンス・ダレル)の家に転がりこむ。ナターシャは庭に花が咲き誇る別荘もある。ナターシャは父イゴール(ユーグ・ケステル)の恋人エーヴ(エロイーズ・ベネット)が大嫌いでジャネットと父親をくっつけようと画策する。ジャンヌは彼のアパート、自宅、ナターシャの家、別荘を渡り歩く。そのたびに衣装をパッキングするのが強調される。いつも間が悪く想定外の鉢合わせになる。下着姿だったりシャワー中だったり。移動のたびに扉と階段が律儀に反復される。本作はとてもルビッチ的なのだ。重要な小道具が首飾りなのもルビッチだ。ナターシャはロメールの十八番の「こじらせ娘」だ。事態をこじらせて混乱させていくのが可笑しい。
ロメールは色味が素晴らしい。3人の女性のワンピースのプリント柄、マチスの絵、抜群の色彩感覚に圧倒される。
カラースタンダード。
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