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春のソナタ
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目次

春のソナタの作品紹介

春のソナタのあらすじ

哲学教師の女性、パーティーで出会った女の子、それから彼女の父親とその恋人…パリの家とフォンテーヌブローの別荘で、女たちの奇妙な諍いが始まる。美しい春の庭で繰り広げられる、三人の女と一人の男の恋愛ゲーム。

春のソナタの監督

春のソナタの出演者

原題
CONTE DE PRINTEMPS
製作年
1989年
製作国
フランス
上映時間
107分
ジャンル
ドラマ

『春のソナタ』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

4.0
 ある3月末の金曜日の午後、ジャンヌ(アンヌ・ティセードル)は哲学の授業を終え、一目散に高校を飛び出して行く。見慣れたパリの風景はいつものように怠惰に映る。恋人のアパルトマンへ行ってはみたものの彼は旅行中で、雑然とした部屋は男のいい加減さを物語るのだ。最初、彼氏のスーツを律儀にたたみ直していたジャンヌは突如馬鹿らしくなり、自分のアパルトマンへと戻るのだが、そこには見知らぬ男がいる。数日間いとこに貸すつもりが、乗っとられた形になってしまい、彼女はどこにも家がないのだ。マンションの一室で繰り広げられるパーティに出掛けてはみたものの、話し相手のいない彼女はソファにどかっと腰掛けるしかない。どこにも居場所がない女性はここで運命的な出会いに見舞われる。目の前で男といちゃつく少女とは明らかに気が合わない雰囲気だったが、ナターシャ(フロランス・ダレル)の方がやけにジャンヌを気に入り、彼女の家へと誘うのだ。いかにもインテリでブルジョワジーの別宅のようなアパートで少女は1人満ち足りた日々を送るのだ。だがナターシャは父イゴール(ユーグ・ケステル)が彼女と同年代のエイヴ(エロワーズ・ベネット)と付き合っているのが我慢ならないのだ。

 所在無きジャンヌは家族の有難みを知らない少女とうっかり出会う。この時点でナターシャにはある魂胆があったもののジャンヌはそんなことは知る由もない。楽しい週末を過ごすために好奇心で見知らぬ門を叩いた女は、さして面白くないだろうと推測した少女の寂しさに触れ、彼女の背景がやたら気になり始める。それは哲学の教師としての職業意識だったかもしれないし、バスタオル1枚で鉢合わせした彼女の父親イゴールへの女としての興味だったかもしれない。いずれにせよ翌週末、ジャンヌはナターシャと共にフォンテンヌブローの別荘に出掛ける。色とりどりの花が咲き乱れ、柔らかな光が差し込む庭は春の匂いを精一杯に吸い込むのだが、ここにはうっかり会えば気まずい先客がいるのだ。同世代の女性同士はマウント合戦に終始し、そのギスギスした空気は春がもたらす最高の空間を著しく損なう。ワインを吞みながら男と女は思索に明け暮れ、教養の中に挟み込んだ譲れない思想・信条を語り合う。その場にいた人々はみな、ジャンヌの「支配」という言葉に過剰な反応を示す。自分の娘を手懐けたジャンヌへの単純な好奇心はやがて彼女への愛情に変わっていくのだが、ナターシャの苦悩を仄かに知る人物としては簡単に一線を越えることがない。

 ここでの「隣に座っていいですか?」のやりとりが醸し出す濃厚なエロスは尋常ではない。やがてうっかり再生したカセットテープの作曲者だけには飽き足らず、曲名や伴走者すらも言い当てた彼女の姿勢にこそ、母親不在の深刻な病巣が垣間見える。父を巡るトライアングルの鍔迫り合いを巻き起こすのは、寓話としての首飾りの謎を巡る夢物語であり、エリック・ロメールはそこにファンタジーを比喩として込める。優柔不断なイゴールが声を上げられない一方で、女たちは罵り合い、怒りをぶつけあい、時には泣きじゃくり、逃げ惑う。14歳の頃のピアノ・ソロを愛する父はあの頃のまま、娘を思想の檻の中に閉じ込めようとするが上手く行かない。挙句の果てには自らの代理的ないい歳した大人に傅く。然しながらすっかり疲れ切った中年のリビドーは無意識に娘を回避して行く。私だけを見ていて欲しいという娘の承認欲求と中年のリビドーとはくすんだままで一向に折り合うことがない。ロメールの映画では大人たちがうっかり自身の限界値を曝け出す一方で、ナターシャのenfant terrible(恐るべき子供たち)ぶりは文字通り底が知れない。今は亡きシネ・ヴィヴァン六本木の空気や湿度が思い出されるわが青春の1本であり、四季の物語シリーズの記念すべき第1作目である。
色彩によってのみ可能となる効果の追求。巧みに統制されることで機会に応じて主導権を握り、全体よりもディティールや物の力によって忘れ難い印象を与える。外の自然空間における新緑や花の彩りに限らず、室内でも服や調度品、壁紙、絵画、棚に揃えられた本までが春を思わせる。しかもそれは絵葉書的な季節への愛着や遊びの精神に留まることなく、会話劇における哲学的要素と、他愛もない周回的な恋愛喜劇の調和をはかる為の手段のひとつとして機能している。そこにもうひとつの手段として、ベートーヴェンやシューマン、ジャン=ルイ・ヴァレロの音楽が使われているのだと思う(「ヴァイオリン・ソナタ第5番へ長調《春》」「夜明けの歌」「交響曲エチュード」「モンモラシー・ブルース」)。ジャンヌの整理魔としてのムーヴが首飾り発見の動機、最後花を運び去るその瞬間まで一貫されているのは最高だった。
leyla

leylaの感想・評価

3.8
エリック・ロメールが69歳の時に撮った『四季の物語』第一作。

冒頭でベートーヴェンのバイオリン・ソナタ「春」が流れ、パリの街並にとけ込む。

高校の哲学教師の女性と10代の音楽学校の少女が偶然パーティで出会い、打ち解ける。何気ない会話のやりとりから、思わぬことが起きたり、気まずくなったり…。

哲学の話もロメールが手掛けると軽妙に聞こえてくる。毎回こんな会話をよく思いつくなぁと感嘆しながら観てしまう。なんで飽きないんだろ。
演じる役者も自然体。

桜咲く別荘の庭、シンプルなファッション、部屋に飾られる花々、終わり方も心地いい。
日本人には理解できないこともまた楽しい。

『春のソナタ』に似ている作品

木と市長と文化会館/または七つの偶然

製作国:

上映時間:

111分

ジャンル:

3.6

あらすじ

フランスの田舎町を舞台に、エリック・ロメール監督が描くコメディ・ドラマ。野外劇場やプールを備えた文化会館を建設しようとする市長は、その計画を進めるも、市民からの賛同は得られず事態は思わぬ方…

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