April01

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1のApril01のレビュー・感想・評価

3.4
原作の死の秘宝編は、謎が解き明かされてつながる伏線回収いわば壮大なネタバレ編でもあるので原作をジックリ先に読み直して、以前読んだ時にキチンと咀嚼してなかったいくつかの部分について、時には以前の巻に戻って読み直したり考えたりして理解しようと努める至福の時間を経た上での本作。なので、ごめんなさい、どうしても物足りなさを感じてしまうのを禁じ得ず。

そういう意味でのメモ。

ダーズリー一家があっさりと去り、あのダドリーとの感動の場面なし。
原作でもペチュニアの本音はスネイプのペンシーブ回想でしかでてこない。スネイプのことは、少女の頃に、妹リリーとの関係で幼馴染的に人生の中の一瞬にすれ違っただけだけれど、だからこそあからさまに感情を見せ合っていたりする。
ペチュニアはスネイプをある時点ではハリーよりもよく知っていたとも言えるのでは。
原作でもペチュニアの口から何を思うのかハリーへの語りかけがないのは寂しい。
けれど、きょうだいは他人の始まりとも言う通り、実際自分の子供がいれば、甥っ子姪っ子ぶっちゃけどうでもイイっていうのは事実なので、そこは、血のつながりを重視した物語を綴りながらも妙にリアリストなローリングさんの筆の冴えてる点でもある。
ダドリーだけが覚醒してハリーへの歩み寄りと本音の語りかけがあるのは、若者ゆえの柔軟性と寛容と受容であると思え、年の功より若さが素敵、と少し年齢を重ねたからこそ思う、若いからこそ成し遂げられる、という単純な事実が、ずっとカリカチュアされてきた家族の中にさり気なく編み込まれているのはジワジワくる。
そういう細かいところ、映画ではなーんにも感じられない。

耳を怪我したジョージが、ハリーとジニーのキスを見てコソコソ歩き、歯ブラシ耳に挟んでモーニング!言うところ笑う😆

スクリムジョールがハリーの居場所を吐かずに死んだことは省かれてる😢
原作でも又聞きするだけで、スクリムジョールの最期は直接的には描かれないけれど、複雑な強いキャラクターなだけに、ビル・ナイなら、もっともっとヤッてくれたはず!と勿体ない気がする。

RABがどうやってロケットを手に入れたか、そのためにクリーチャーがどれだけの忠義を尽くしたかが省かれてる😢
シリウス絡みで憎たらしいと思っていたクリーチャーが可愛くて仕方なくなるなんて。
屋敷しもべ妖精という摩訶不思議なキャラクターを想像したローリングさん、すごいわっていうクリーチャーの変化が原作で楽しくて仕方なくて、特にハリー達のためにイソイソと食事の支度をする場面なんかニヤニヤしてたくらい。キドニーパイ作って待ってるクリーチャー可愛いよ、可愛い!
そういうクリーチャーの魅力を映画は一切省いてる😢

ハーマイオニーとハリーが音楽に合わせて、いいムードで踊るとか創作はやめて欲しかった!確かにあのロケットのせいで気持ちが乱されるわけだけど、だからと言って、そこまであからさまに原作にないものを突っ込む必要があったのかどうか。

森でロンに再会する場面のハーマイオニーがすごく綺麗で、この一連の場面のエマ・ワトソンは、大人になる直前の危うい雰囲気を醸し出していて、たぶんこの美しさはこの時だけのもので、特に彼女を追いかけているわけではないけれど、この何とも言えない人生で一瞬しかない特別な時間を切り取ったかのような美しさは、その後は出せていないと思う、当たり前だけど。
失うのは当然で、代わりに得るもので補われるという喪失と獲得を感じる。特に時間が経過している今再見するからこそより感じるし、このシリーズは同じ俳優が演じ続けているから余計に成長に伴う喪失と獲得は顕著。

伏線回収の1つであるワームテールの件も省いてるな~😢
ダンブルドアが言ったんだけどね。魔法使いにとって借りを作ることは大きな意味を持つ云々。それを証明することになるワームテールの一瞬の躊躇は絶対に描いて欲しかったんだけれど。
原作者は描いていない事も多くて、その一つがワームテールの細かい人物像なんだけど、そのわりにハリーの両親の死のカギだし、そもそもワームテールのお世話がなければヴォルデモート再生がありえなかったことを考えれば、彼の唯一の見せ場であった躊躇という形の良心は映画で無視して欲しくなかった。

肖像画を行ったり来たりして、あーだこーだ言ってたフィニアス・ナイジェラスが、本人の意図に反して、ハリー達の居場所を教えて助ける形になったことも省かれている。この人の存在が面白くて仕方なかったので残念。

分霊箱の1つである指輪について、ダンブルドアがどうしてしまったのか、過ちと死の関連についても謎解きされないままになってしまっている。そこにスネイプがどう関わったのかについても。

ハリーが、わからない、わからない、わからない!って感じて、ロンもハーマイオニーも、どうするの、どうするの、どうするの?っていう流れが延々と続く原作は、正直読んでて疲れる気もしたので、そのへんのフラストレーションを映画はできるだけ簡潔にわかりやすく短くしてくれている気がする。それは良い点😀
April01

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