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ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1のよーだ育休中のレビュー・感想・評価

4.0
マグル一家の惨殺。偉大な魔法使いAlbus Dumbledore(Michael Gambon)の訃報。《闇の帝王》の復活は、魔法界と人間界の双方に濃く暗い影を落とす。魔法省大臣が闇の力には決して屈しない旨の声明を発する中、Harry(Daniel Radcliffe)、Ron(Rupert Grint)、Hermione(Emma Watson)の三人は、ホグワーツには戻らず《分霊箱》を探し、破壊する旅に出る。

These are dark times,there is no denying.
Our world has perhaps faced no greater threat than it does today.


◆ UNDESIRABLE NO.1

世界的ベストセラー『ハリー・ポッター』シリーズの映像化作品もいよいよ最終章。『炎のゴブレット』以降、原作のボリュームは倍増していましたが、それでも映像化作品においては原作のエピソードを取捨選択することで一本の映像作品にまとめていました。

最終章である『死の秘宝』においては、ついに原作に準拠した形で前後編での製作と相成りました。今作『死の秘宝 Part1』では《第二次魔法戦争》が最も激化した時期の英国の様子が主人公視点で描かれており、次作『死の秘宝 Part2』では《ホグワーツの戦い》および《第二次魔法戦争の終戦》が描かれています。

シリーズ第五作品目の『不死鳥の騎士団』から監督を務めるD.Yatesは、今作でも大変魅力的な映像表現で戦時下の魔法界を作り出しています。人間界にも《闇の帝王》の魔の手が迫る本作の背景設定と親和性の高い『フリーウェイでのカーチェイス』や『マグルのカフェでの戦闘シーン』など、魔法界と人間界が融合したアクション演出は特にお見事。

同監督は過去の魔法ワールド監督作品においても同種の表現を取り入れていました。『不死鳥の騎士団』では箒にのってテムズ川を飛行するカットを。『謎のプリンス』では地下鉄のプラットフォームや吊り橋が崩落するカットを。いずれも短いカットでしたが、とても印象的でした。


◆ Together, they make the Deathly Hallow.
ーTogether, they make one master of death.

タイトルにもなっている《死の秘宝》とは、作品内で『吟遊詩人による寓話』としても語られている《三つ揃えると死を制することが出来る秘宝》の事。本作が《英国全土を震撼させた架空の大戦》を舞台としていることからも、シリーズ最終章のテーマは『死』である事が窺えます。

仲間の命が危険に晒される中、主要キャラクターがいとも容易く散って逝ってしまう思い切りの良さ。『不死鳥の騎士団』でSirius Black(Gary Oldman)が息絶えた時からそうでしたが、ご都合主義を排した残酷なプロットが物語にリアリティを与えます。今作でもHarryにとって旧い友人との悲しい別れがいくつも訪れます。そして、『主要キャラクターだから死なないだろう』という甘い考えが通用しないからこそ、命懸けの戦闘シーンは手に汗握る迫力がありました。

今作では冒頭とラストでHarryにとって大きな別離がありましたが、どちらもとても心苦しい。そしてそれ以上に胸が締め付けられたのは、Hermioneが最初に放った呪文。

Obliviate...

まだ児童向け文学作品感が強く残っていた『秘密の部屋』で登場した為に比較的コミカルに描かれていた忘却呪文が、こんなに切なく悲しい呪文だったなんて。


◆You may be the chosen one.
ー But this is a whole lot bigger than that.

命懸けのヒリヒリとした緊迫感と合わせて、成長した主人公たちが難易度の高い魔法を使えるようになった事も、アクションシーンのクオリティを高める一助になっています。

インセンディオ、エクスパルソ、コンフリンゴなど爆破系呪文の種類が豊富なことは勿論ですが、 17歳を迎えた彼らが《姿くらまし》を使える年齢(認可試験を受けられる年齢)に達した事で、場面が目まぐるしく移り変わるのも見所。《姿くらまし》に失敗して「身体がバラける」アクシデントも初々しさがありました。そんなこと言ってる暇はないほどに痛々しい描写でしたが。

《闇の帝王》を滅ぼすために、Dumbledoreから授かったものを携えて、三人の子供たちだけで《分霊箱》を探す旅に出るストーリーも、彼らが17歳という青年期に入ったが故に違和感なく見ることができたポイント。一年生の頃から比べると、本当に大きくなりました。

《分霊箱》の一つである《スリザリンのロケット》を携えて旅を続ける彼等。破壊する術が見つからず、過酷な度の道連れにする他無かったのですが、《闇の帝王の魂の欠片》が封じ込められたガジェットであり、徐々に心が蝕まれていきます。これは英国を代表する文学作品『指輪物語』において《サウロンの指輪》を滅びの山へ棄てに行くホビット達の様子を彷彿とさせました。

辛く険しい道中、偉大なDumbledoreの導きによって絆を取り戻した彼等。今は亡き大魔法使いのが「ここまで読んでいた」ことには鳥肌が立ちますが、一番グッとくるのが《ディーンの森》でHarryとRonが《グリフィンドールの剣》を見つけ出す直前に現れた《雌鹿の守護霊》。

本当に影からHarryを見守っていたのは誰だったのか。Dumbledoreですら驚嘆したほどの《愛》で締め括られる最終作への期待が高まります。


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さーきとよーだのハリポタマラソン。

残すところあと一作!
ずるずるダークな雰囲気に呑まれて来たけど、次回作に繋がる光も差し込んできてる!

Sakiちゃん今回もありがとう!
次回もよろしくね!