鍋レモン

バグダッド・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版>の鍋レモンのレビュー・感想・評価

4.7
⚪概要とあらすじ
1994年には17分の未公開シーンを追加した「完全版」、2008年にはパーシー・アドロン監督がオリジナル版を再編集した「ニュー・ディレクターズ・カット版」が公開された。

アメリカ西部の砂漠に佇む寂れたモーテル「バグダッド・カフェ」に集う人々の交流を描いたヒューマンドラマ。ドイツから夫と共にアメリカ旅行に来たジャスミンは、夫婦ゲンカの末に1人で車を降り、モハーベ砂漠にあるモーテル兼カフェ「バグダッド・カフェ」にたどり着く。バグダッド・カフェには不機嫌な女主人ブレンダら一癖も二癖もある人々が集い、いつも気だるいムードが漂っていた。しかしジャスミンの出現により、彼らの心は次第に癒やされていく。

⚪キャッチコピーとセリフ
“好きなら好きと言って、素直に。”

「浮世の悩みは マジックで消える」

⚪感想
人間ドラマ作品。

最初はなんかムズムズしたけど、パワーが詰まった癒され作品だった。最後はなんかほっこりふわふわ。
日常を描いているようで非日常だし、そこそこゆっくり時が流れて描かれるのはほぼバグダッド・カフェだけだけど惹き込まれてしまう。

登場人物みんな癖強、人間らしさ全開だった。
ちょっと不器用だったりぶっ飛んでたり。

ジャスミンを中心としてバグダッド・カフェに集う人々が徐々に癒され解れていく感じがたまらなかった。それを見ている私も癒される。

ジャスミン。
第一印象とラストでの印象こんな変わる登場人物いる?って言うくらい印象が変わった。
びっくりするぐらいジャスミンが好きな自分がいる。行動や笑顔、愛嬌って大事。
可愛いし、面白いし、友達になりたい。

ブレンダ。
序盤はほぼキレてるシーンばっかりだけどこの登場人物も後半すごく良かった。

鑑賞迷ったけど観てよかった。




⚪以下ネタバレ



黄色の魔法瓶、古びたモーテルとカフェ、給水塔、酷く濃く苦いコーヒー、トレーラーハウス、タトゥー、ブーメランと一つ一つがたまらない。

ジャスミンは夫に置いてかれたというより、途中で遭遇しそうになっていたのを回避したのを見るとジャスミン方が捨てたように思えた。
ブレンダは自分から夫を捨てたけど泣いていて少し後悔が見えた。
「ブレンダに相談する」という返答であれジャスミンはコックスのプロポーズを受けそうだし、ブレンダは夫を受け入れたのでお互い喪失からの新たな獲得みたい。

キャッチコピーの素直にを感じたシーン。
バグダッド・カフェの店員カヘンガは最初濃いコーヒーを要望するジャスミンの希望を無視して黄色い魔法瓶にお湯を足したけど後半でコーヒーを作る時は粉を増し増しにしたシーン。
自分の子供たちと遊ぶジャスミンにブチ切れたブレンダが戻ってきて謝るシーン。
ブレンダの娘フィリスがジャスミンに向けてベーっとしたのを謝るシーン。

冒頭のジャスミンとブレンダが会ったシーンで涙をいつ拭くのか気になったけど、ジャスミンが汗をブレンダが涙をスカーフで吹いていて演出の良さに唸った。

コックス普通に嘘つきかと思ったらハリウッドで映画美術担当してたのね。
徐々にジャスミンがヌードになっていくのがコックスとの仲を表しているようで絶妙。
ラストの不器用すぎるプロポーズ良き。

ジャスミンは夫の荷物を持ってきてしまったため服が少ないからか、スカーフでアレンジしているのが可愛かった。

⚪以下ストーリー(Wikipediaから引用)
モハーヴェ砂漠を貫く幹線道路。ドイツから旅行に来た夫婦がラスベガスを目指す中、レンタカーの中で喧嘩を始め、妻・ジャスミンは車を降り、自分の荷物を持って飛び出してしまう。

ジャスミンが重いトランクを引きずって歩き続けた先には、砂漠の中に孤立したように存在する、さびれたダイナー兼ガソリンスタンド兼モーテル「バグダッド・カフェ」があった。その店ではちょうど、女主人・ブレンダが、仕事をしない夫を怒鳴り散らし、追い出したところだった。モーテルの部屋を借りたジャスミンは、部屋の壁に飾られた、2つの太陽(幻日)が輝く空を描いた風景画に魅了される。われに返り、着替えようとトランクを開けるが、そこに入っていたのは夫の着替えや生活用品だった。持ってきたのは自分のトランクだったが、荷物を詰め間違えていたのだった。部屋の掃除に入ったブレンダは、男ものの服やひげ剃りなどが部屋に広げられているのを見て不審を抱く。

暇をもてあましたジャスミンは、勝手に店の大掃除をしたり、赤ん坊をあやしたりするうち、バグダッド・カフェの店員のようにふるまうようになり、少しずつブレンダの警戒を解いていきつつ、カフェに集う人々とも打ち解けていく。また、夫の荷物の中に入っていた手品練習セットで遊ぶうち、手品の腕前が上達し、カフェの客に披露すると、評判が評判を呼んで、かつて閑古鳥が鳴いていた店は、マジックショーを上演するダイナーとして大繁盛となる。

ある夜、地元の保安官が店に現れ、ジャスミンにビザの期限切れと労働許可証の不所持をただし、ドイツへの帰国を命じる。ジャスミンが去ったバグダッド・カフェには、人々が寄り付かなくなった。

しばらくのち。バグダッド・カフェにふたたびジャスミンが現れた。カフェの人々とジャスミンは、再会を喜び合った。これまでのようにマジックショーを上演する日々を送る中、ジャスミンの部屋を、店の常連客の老画家・ルディがたずねる。ルディはジャスミンの部屋にある風景画の作者で、画家とモデルとして頻繁に会ううちに、惹かれ合うようになっていた。ルディは「再会できてうれしいが、このままではふたたびビザの問題が起こる。アメリカ市民と結婚すれば問題は回避できる」と告げる。それは不器用な結婚の申し出だった。ジャスミンは「イエス。ブレンダと相談するわ」と返答した。

⚪鑑賞
GYAO!で鑑賞(字幕)。
鍋レモン

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