『ハリスおばさんパリへ行く』のような、異国の辺鄙な場所にたどり着いたとある西洋人の女性から物語ははじまる。
全てが空回りしたバグダッドカフェ。
カフェなのにコーヒーすらない。
それぞれが悩みを抱えて、ぶつかり合いながら生きている。
ジャスミンを馬鹿にして、気味悪がって、意地悪しちゃうところもまた人間。
なにひとつ嫌な顔しないジャスミンはその大きなからだでみんなを優しく包み込む。
人の心は変えられるということをジャスミンは知っていたのかもしれない。
大きな愛は、次第にみんなの冷め切った心を温かくしてゆく。
ただの茶色い水から、コクのある味わい深いコーヒーのように。温かく、じんわりと。
流れゆく時のなかで、別れと再会を体験したバグダッドカフェの家族たち。
ブレンダとの友情を物語るラストは
私たちの想像に任される。